楽器を担いで劇場へ行く 奏者として出演するのではない
あくまで観劇する客としてだ 客席と舞台の境界のない演劇?パフォーマンス? 素人だか玄人だかわからない演者たち そして いつの間にか舞台の上にいる自分 質量のある温かさと柔らかさと湿り気 を 押しのけて立ち上がる
入口の靴箱に立てかけたはずの楽器はケースだけ残っている いかにも所在なさそうにしょげているケース そもそも本当に持ってきたろうか? 自分で出したのかさえ覚えがない
雛段での記念写真を断る 舟状窩と三角窩から剝がれるように落ちた砂漠の砂