02 志賀直哉『城の崎にて』

🎤海水🐈
·

読んだ!

わりとこじんまりした、しょぼくれた話でこれが代表作なんだ〜という気持ちもある。

いろいろ敏感に感じて考えた末にたどり着いた結論が多くの人の心を掴んだのかもしれない。生きることってただ生きてるってことだし、死ぬってただ死んだってことだし……みたいな、そこの実感を語る言葉には自分も説得力を感じた。虫の命も人の命も本質的には同じというか、どちらも単に現象でしかない……みたいな。でも主観の話もしてたな〜。文章から伝わった実感を一言では言うのは難しい。

読んでるとわりと死生観に影響を受けるというか、「城の崎にて」死生観を私も採用してみていいいかもしれないと思った。

現代日本では「城の崎にて」みたいに暇を持て余して虫やイモリの死を眺め、思索を巡らせ……ってできるような人がどんどん少なくなってると思う。少なくともこんなにゆったり考えられることってなかなかないと思う。暇がない人も多いし、手軽で刺激の強い娯楽もいっぱいあるからね。そういうことができる世代の人はどんどん減っていくと思う。暇が少ないかつ娯楽を不自由なく享受できる「普通の人」ほどこういうことをしなくなっていくんだろうな〜と思う。自分もそうだな。せいぜい踏切の遮断機が下りている数分くらいしか日常でこういうことは考えないと思う。それって何か人間全体にとって、致命的な損失なんじゃないかという気もうっすらする。幼い子どもがゲーム機の画面に釘付けになっているのを見て不安になるような、明確な根拠はないけれど生理的な不安なのかもしれない。

作家の代表作って何基準で選ばれるんだろう?

なんか代表作ってことで一歩引いて、というか構えて見ちゃったけど、総合的には好き。他のやつも読みたい。

@kaisui231116
二次元コンテンツとSNS以外の趣味を作ろう2024