迷子のビルダー
ビルダーの募集を見て、サンドロックに来てから数日。もらった地図を見ても、目的地にたどり着けないというどうにもならない事案に遭遇した。
確かに私は方向音痴の自覚はある。あるけれど、地図を持っているのにどうしてたどり着けないんだろう?
「ビルダーさん?」
マートル広場で地図をくるくるくるくる回しながら見ていたら、声をかけられた。そっちを見ると小さい女の子が私を見ていた。
「あ、えっと、ジャスミンちゃんだっけ?」
「はい、ジャスミンでいいですよ、ビルダーさん」
「ああ、私の事もビルダーでいいよ、ジャスミン」
二人でお互いの呼び方を言い合って、一緒に笑ってしまった。
「さっきもここに来てましたよね?あ、もしかして迷っていたりして・・・?」
「うっ、そうなんだ・・・」
「昨日、サンドロックツアーをしたけど、それじゃ覚えられなかったですか?」
「うう・・・実はね・・・」
そう、ジャスミンの言う通り、手紙を届けに来てくれた彼女が、町の素晴らしいところを案内してくれたのだけど、全く覚えられなかった。自分の家からすぐの牧場とオアシスはなんとかなるけれど、建物の場所がわからないのだ。ワークショップから右手が商業ギルドだっけ?ブルームーン酒場はマートル広場だっけ?地図をみても全くわからない。昨日は迷って、町の中で力尽きてペンって人に助けられたらしい。手紙が入っていた。
「教会に行くんですね。それならまたわたしが案内してあげます!行きましょう、ビルダー」
ジャスミンがツアーとは違ってゆっくり歩き出した。
「マートル広場からなら、こっちの厩舎の後ろの階段から行く方がわかりやすいと思います」
本当だ、後ろに階段がある。しばらく上ると右側に道がある。私がそっちを見ているのに気がついたのか、ジャスミンが私の手を握った。
「そのまま階段を上まで上りますよー」
「はーい」
手を繋いだまま、一番上まで行くと、右側に大きな建物が見えた。ジャスミンが手を離してそっちに走っていく。
「ビルダー、こっちです」
ジャスミンの呼ぶ方に行くと、そこが教会だった。
「わあ、ありがとうジャスミン!」
「どういたしまして!道がわからないなら、駅からヤクメルバスも出ていますから、それを使ってもいいと思います」
そういえばそんなのもあったな。それなら迷うこともなく教会までは来られるだろう。教会に用事があれば使おう・・・
「そういえば、教会になんの用事だったんですか?」
「えっと、ミゲルさんにお届け物を」
「あれ?さっきウォーターワールドの近くにいましたよ?」
「ウォーターワールド?ってどこ?」
「さっき上ってきた階段のすぐ近く・・・」
「・・・・・・どっちだっけ」
「ええ!?」
おわり