きみのまちサンドロックとSky星を紡ぐ子どもたちのクロスオーバーです。
そのため、いつも以上に何でも許せる方向けになっています。ご注意ください。
この下からすぐに始まりますよ。
○空から落ちてきた子ども
ユフォーラ砂漠に、何が墜ちてきたと民兵団に連絡が入った。ビルダーの私にも声がかかって現場に行くと、その場所に大きなクレーターが出来ていた。
その中心に、いまは何もいない。それを目撃したのは、前哨基地で見張りをしていたローガンだった。彼の後ろに、見覚えのない子どもが隠れている。
「もしかして、その子か・・・?」
「そうだ、流れ星かと思って見ていたんだが・・・ここに来てみたら、こいつがクレーターの中心で倒れていたんだ」
ローガンの後ろに隠れている子は、自由都市のどこでも見ない格好だ。
背の高さは、ローガンの二の腕辺りくらいに頭のてっぺんがある。
顔には謎の男のように仮面をつけている。仮面の顎に真っ白な髭があって、図鑑で見たウミガメのように見える。着ている服は、真っ黒だけど、ベルト部分が虹のようにカラーリングされている。身に付けているケープも表は真っ黒で、裏地がベルトのように虹色になっている。耳についているものは、菱形の部分がピアスになっているようで、そこから垂れ下がる真っ黒なフレームに青色から橙色へグラデーションになっている。まるで夕日が沈むときの空を表しているかのようだ。そして、真っ白な髪はサイドを刈り上げて、頭頂部だけを残して三つ編みにしているようだ。
それにしても、この子、こんな真っ黒な服とケープで暑くないのだろうか。季節は一番暑い夏なのに・・・。
「ホワア」
「さっきからこれしか言わないんだ。聞いたことに対して、身振り手振りはするから、言っていることは通じているだろう」
「空から落ちたというなら、普通は・・・いや、AIロボットだとしてもどこか壊れているんじゃないのか?」
ジャスティスが子どもに近づくと、その子は、少し跳び跳ねたと思ったら、地面に頭を抱えて縮こまってしまった。怖いのかな?
「私たちは君を捕まえたりしないよ」
「おい、ビルダー・・・」
ジャスティスが私を咎めるように呼ぶ。
とりあえずここには、サンドロック最強といわれるようなメンバーが集まっているわけだし、この子どもが突然襲いかかってきても大丈夫だろうと判断した。
「大丈夫だよ、この人の名前はジャスティスっていうんだ。君が隠れているこの人、ローガンより優しいよ。どっちも顔は怖いけど」
「「おい」」
私がその子に話しかけると、左右を確認してから立ち上がって、ちょっと考えるような仕草をして、頷いてくれた。
「ホワア、ホワ、ホワア」
何か言っているようだけれど、やはり全く解らない。
「うーん、ごめん、解らないや」
「ホワア・・・」
その子は、腕組みをして肩をがっくりと落とした。そのまま歩いていこうとするから、ローガンがその子どもの腕を掴んだ。
「ホワワワワワワワア!」
「何だ!?」
突然、連続で鳴いて、そこにいる皆が驚いてしまった。さすがのローガンも掴んだ腕を離したようだ。
「ホワア!」
片腕を腰に当てて、ローガンの事を指差して、まるで先生が「いけませんよ」とやるような仕草をした。更には腕組みをしてぷいっとしたあと、足でダンダンと音を出した。まるで子供が駄々をこねているかのようだ。
「腕掴まれたのが嫌だったんだろ」
「ああ、そうか、悪かったな」
「ホワア・・・」
今度は私の後ろに隠れるようになってしまった。
以前、サンドロックに来たアーティストのペニーみたいにケープを羽織っているけれど、言語が通じないということはなかった。だからきっと・・・
「ねえ、君は帰るところがあるんじゃないのかい?」
「ホワア!」
私の言葉に何度も頷いた。
「帰り方は解る?」
悩む仕草をした後に、頷いたりやれやれという仕草を繰り返した。
「なんだろ、なんか今までとちがう反応だね」
「・・・・・・解らないってことか?」
「話が通じるのに、しゃべらないっておもしろいな・・・」
「この子、どうする?牢屋に入れておくのは倫理的によくないだろうし、家で預かって良いかな?」
「見たところ危険じゃなさそうだし、それでいいと思うが」
「ああ、じゃあ俺は書類の作成をするか・・・」
ローガンはそのまま前哨基地に残るというので、その場で別れた。
町に戻って、アンスールと合流して事情を説明すると、彼は「そうですか」と一言答えただけで興味を失くしたようだった。ああ、もしかして。隕石だと思っていたから、こんな子どもが堕ちて来たと知ってショックなのかもしれない。
ジャスティスが町長のトルーディに全て説明し、この子は私の家で預かることになった。
部屋の中に入ると、その子・・・ローガンは、流れ星のようだったと言っていた。それじゃあ
「ねえ、君の名前を決めたいのだけど。流れ星みたいだったから、星の名前から取って、アルって呼んでも良い?」
「ワワワワワワ!」
ローガンが腕を掴んだときのように連続で鳴いたけれど、その後、連続でピョコピョコビヨビヨビヨと連続で跳び跳ねている。更にはしゃがんでぷるぷるした後に、片腕を掲げてジャンプした。
ああ、もしかして喜んでいるのかな?
「喜んでくれたのかな?じゃあ、アル、これからよろしくね」
「ホワア!」
流星のようにサンドロックへ堕ちて来た子ども、アルは、背の高さこそ子どもだが、知恵は子どもではなさそうだった。
何にでも興味を持つ点では子どもかもしれないが、一度注意されたことは絶対にやらないし、座って待っていろと言えばずっと待っていられる。待つ間に何かしらの意思表示はしていたけれど・・・ローガンにやったぷいっとするやつとか、駄々こねる子どもみたいに床へ転がってじたばたしたりと、かわいいと思ったのは内緒だ。
そしてこのアルは、どうやるのか不思議だが、身体からキャンドルを出せるようだ。私にもそれをしたけれど、意味が解らなくて何も言わなかったが、町につれていったときにわかった。初めて会った人に必ずそれをしている。きっとアルたちの世界ではそれが挨拶なのだろう。
私たちにはそれは出来ないし、怖がるからやめた方がいいと言ったら、しょんぼりしていたけれど、聞き分けがよかったから、それ以降はしていない。でも、あのキャンドル、近づいても全く熱くなかったんだよな。それも不思議だ。
なんだかんだ、アルはサンドロックに馴染んだようで、広場で町の子どもたちと遊んでいたりする。一応監視役として私はついているのだけど。
ジャスミンが書いていたタンブルウィード・スタンダードのメモを飛ばしてしまった時には、アルはジェットパックも持っていないのに垂直に勢いよく跳ねたかと思えば、ケープを広げて飛んでいき、あっという間にメモを取ってこちらに戻ってきたのだ。そのつぎの日は、タンブルウィード・スタンダードの一面を飾ってしまった。
アルは、初めて会ったとき、背中に杖を背負っていた。子どもたちと遊んでいた時に、それから花火を打ち上げたときは広場にいた皆が驚いたけれど、それは不思議とキャンドルと同じで熱くないものだった。その日、昼間だけでなく、夜にも不思議な花火を打ち上げてくれたアルは、私たちの反応に随分喜んでいるようだった。
でも、今、アルは白くて四角い箱を背負っている。花火杖はどうしたのかと聞いたが、身振り手振りで、何となくだけどどこかに行ってしまったと言っているように思えた。
今背負っているそれは何かと聞いたら、それを背中から取って目の前に掲げ、カシャと音を立てたと思えば、ヒラリと紙が舞う。しゃがんでその紙を拾うと、目を丸くした私が写っていた。
「これは今撮った写真?ということはこの箱はカメラなのか?すぐに印刷されるなんて!私たちの技術より先を行っている・・・!」
これはチーホン局長に・・・と思ったが、多分アルの大事なものだろう。そもそも私たちの技術でアルの不思議な力を突き止めることなど出来ないのだから、野暮なことをしなくて良いだろう。何より、局長はアルについての炉端の会議に出てこなかったし、興味もないだろうから黙っていることにしよう。
「ホワア?」
「ん、ごめんねアル。写真が撮れるんだね」
「ホワア!」
うんうんと頷いて、しゃがむ私の近くに来て、カメラのレンズを私たちに向けた。カシャと音がして出てきた紙を、アルは大事そうに懐に仕舞った。
「あれ、見せてくれないの?」
無言で手を胸の前で振って、拒否の仕草をした。しかもそっぽ向いて私に手を付き出した。おお、明確な拒否のポーズだ。こうなったら絶対に見せてくれない。しかたない、諦めましょう。
カメラを背負うようになってから、アルは町のあちこちに行って、景色や住民たちを撮るようになっていた。住民と撮った写真を見せてくれたけど、みんな良い表情をしている。これ、町の人全員だ。こんなにたくさん、バラバラの状態で持っているのは不便だろうと、アルバムを作ってあげたら、名前をあげたときのように跳び跳ねて喜んでくれた。早速写真を張り付け始めた。
・・・もしかしたら、アルは、元の世界に去る日が近いのかもしれない。
アルバムを作ってあげてからしばらくして、サンドロックに砂嵐が訪れた。アルを私の家で預かってから初めての砂嵐の日だ。
お面をつけているとはいえ、この中でまともに歩けるのかと気になったので、わざとサンドウォールを上げずに庭へ一緒に出てみた。
「ホワアアアアア!?」
あ、驚いている。砂がお面にぱしぱし当たって痛いみたいな意思表示をしている。もしかして、お面だけど自分の顔の一部なのかもしれない。
「ごめん、ちょっと待って、すぐだから」
急いでサンドウォールをあげて、庭を安全地帯にする。こうすればこの中だけは砂嵐から守られる。
「ホワア?」
アルが首を傾げた。ん?首を傾げたと思ったら、何か思い付いたように腕を上にあげて、こっちに近寄ってきて、サンドウォールのボタンを押した。
「あっ」
大きな音を立てて、サンドウォールが下がっていく。そして砂と風が庭に入り込む。アルは、初めてあった時のように、ちょっと跳び跳ねてその場に頭を抱えて蹲った。怖いならやらなきゃ良いのに・・・こういうところは子どもみたいだ。
「全く・・・私も砂が庭に入ると困るんだ。壁を下げておきたいのかもしれないけど、ごめんね。あげるよ」
「ホワア」
頭を抱えて蹲ったまま、アルが答える。多分サンドウォールをあげても大丈夫だろう。
壁が出来て、やっとアルは顔をあげた。
自由に歩けるようにサンドハットでも作ってあげようと仕立て機のスイッチをいれて材料をそろえていたら、私の袖をアルが引っ張った。
「ホワア、ホワ、ホワワ、ワア。ワア、ホワワア」
そして、頻りと鳴くのだ。もしかして。
「この中を、どこかに行くの?」
「ホワア」
いつも以上に大きく鳴いたアルは、力強く頷いた。そして、私に手を差し出した。私は、その手を取って、アルと共に砂漠に向かう。
サンドギアを着けずに砂漠に出るのは初めてだ。この町に来てすぐに、今は町にいない人に砂嵐を防げる帽子をもらっていたからだ。目が痛い、開けていられないと訴える私の声が聞こえているのかいないのか、強く吹き付ける風と砂をものともせず、アルは砂漠を進んでいく。まるでどこに行けば良いのか解っているかのようだ。私はもう、前も後も右も左も解らない。アルがギュッと握ってくれている手だけが頼りだ。
「ホワア」
時折、アルが鳴いてくれる。
「うん、最後までいくよ、アルが帰れるまで」
「ホワワア」
相変わらず視界は悪いが、急な坂を登っていることに気がついた。どうやら、ロックサンド山に向かっているようだ。なぜ山に・・・?
そういえば、アルバムを見せてくれたとき、ママツリーをたくさん撮っていたっけ。ママツリーは、幼馴染ともう一人のビルダーと私とで復活させようとしている大きな樹だ。この町の繁栄から衰退を見ている。そして、この町にある全ての柘植の木の母親だ。
「ママツリーに会いに行くの?」
アルは無言で頷いた。砂嵐じゃないと駄目な理由があるのだろうと納得したと同時に、ボヨンボヨンと音が聞こえる。この音は、デザートホッパーが近づいてくる音だ!
「アル、ここから離れないと!」
「ホワアアア!」
アルが大きく鳴いた。威嚇のつもりだろうか・・・そんなものは通用する相手じゃない。やっぱりサンドギアを着けてくるべきだったと後悔したと同時に、アルも私も吹っ飛んだ。デザートホッパーが体当たりをしてきたようだ。もしかしたらこいつは、砂嵐の時にだけ出てくる強い個体かもしれない。ポーチに持っていた目薬をさして、一時的に視界を確保する。ああ、やはり強い個体だ。アルの方を見ると、吹っ飛ばされた衝撃で仰向けに倒れている。
「ん?」
アルの身体から、何かが飛び出している。何だろう、羽根のようにも見えるが、不思議なものとしか言いようの無いものだ。呼び掛けても反応しない。気絶しているのだろうか。
「シャアアアア!」
アルも気になるが、こいつを倒さないことにはアルの元には行けない。装備していた武器を構えて、デザートホッパーに集中する。
「アル!」
何とか倒してアルの元へ向かうと、さっきまで身に付けていた筈のケープが無くなっている。どこかに落としたのだろうか?あちこちを見ても、ケープは見当たらない・・・
アルを抱き抱えたら、不思議と砂嵐がおさまった・・・いや、おさまってはいない。このロックサンド山の山頂と、今いる頂上付近だけが砂嵐の影響を受けていないんだ!
「ホワア・・・」
腕の中で、力無く鳴いたアルは、山頂を指差した。連れていってくれと言うことだろう。
「解った、連れていくよ」
ロックサンド山の山頂に着き、ママツリーのそばに行くと、アルの背中が光り出して、じわじわとケープが見えるようになっていく。そして、ケープが戻った。本当に不思議な子どもだ。元気を取り戻したのか、腕の中からアルが飛び下りた。
「ホワア、ワワア、ワア、ホワア」
ママツリーに向かって、なにかを話しかけているように見える。ふとケープを見ると背中に表示されていた虹の模様の数が減っていることに気がついた。初めて見たときは一番上の模様には、虹の両端に雲が表示されていた筈なのに、今は虹の模様だけだ。何かが、減っているのだろうか・・・?だとしたら、何だろう・・・まさか、さっきアルが倒れたときに身体から出ていた羽根のようなものだろうか?
「ホワワア」
アルがこちらを向いて再び私に手を差し出した。その手を取ると同時に、アルは何かキラキラしたものを空へ放り投げる動作をした。私がそのキラキラした光に包まれた。首を傾げると、アルが私の耳を指差す仕草をした。それを触ってみると、シャラリと心地の良い音がした。
「・・・・・・ピアスかな・・・?」
「ホワア!」
アルも自分の耳を触って、私に見せてくる。初めて会ったときに着けていたピアスが、アルの耳を飾っている。アルが動く度にシャラシャラと良い音がする。よく見たら、右側の一辺だけに桃色の石がついているのに気がついた。
「お揃いってことかな?いいの?こんなすてきなものもらってしまって」
「ホワア!ホワワ、ホワア」
何かを言いながら、アルはモデルのようにくるくるとその場で回って見せた。真っ黒なケープが翻り、裏地の虹色が、まるでその場へ虹を掛けるように輝いている。
そして、アルはママツリーに向き直ると、胸から何かを取り出してママツリーへ捧げた。その捧げたものは、さっき倒れたアルから出ていた羽根のようなものと同じものだ。
「ホワ・・・」
その場でアルは苦しむようにして蹲った。
「アルっ!」
私がアルに近づくと、アルは石像のようになっていた。そして、直視できない程の強い光を放った。間近でそれを浴びた私が目を開けるようになったときには、もうアルの石像は消えてなくなっていた。そして、山だけでなく、町の方も砂嵐が止んでいた。
あの流星のように堕ちて来た子どもはどこに行ったのか、山のあちこちを探したけれど、アルの痕跡はひとつもなかった。ただ、いなくなる前に不思議な力で私にくれたピアスだけが残っていた。そうか、これは、さようならの意味で出してくれたのかとようやく気がついた。
来たときも不思議な子どもだと思ったけれど、帰り方も本当に不思議な子どもだった。
「ふふ、サンドロックでこんな不思議な体験が出来るなんてね・・・」
もうアルを探すのはやめて、私は歩いて町に戻ることにした。
次の日、町の人たちを広場に集めて、アルが自分の国に帰ったと説明をした。町の子どもたちはとても残念がっていたけれど、人の出入りが激しい土地柄だ。きっとすぐに立ち直るだろう。
「ビルダー、ちょっといいだろうか?」
広場での集まりに参加をしないチーホン局長が珍しく来ていた。私を呼ぶなんてどうしたのだろう。
私がそちらに行くと、夜に研究所の望遠鏡を一緒に見てくれと言われてしまった。望遠鏡が壊れてしまったのかと思って、快く返事したものの、しばらくしてから、直すなら昼間で良いのでは?とセルフツッコミをしてしまった。約束したんだから行きますけどね・・・。
その日の夜、チーホン局長との約束通り、研究所の屋上に取り付けた望遠鏡の場所まで行くと、局長は望遠鏡を覗きながら私に話しかけてきた。
「来たか、ビルダー。以前、これを取り付けたとき、星座について説明したな?」
「あー・・・えっと、星座と言われているけど、その星は何光年も離れているって話?」
「そうだ。その星座で、はくちょう座を話したと認識している。はくちょう座、こと座、わし座の一番明るい星を結んで、夏の大三角というのだが・・・ちょっと見てくれ」
私が望遠鏡を覗くと、とても綺麗な星空が見えた。
「そのままどこも触らないように。望遠鏡を覗いたまま聞いてくれ。今、望遠鏡から見えているのは、夏の大三角だ。その大三角は解るか?」
「うん、大丈夫。解るよ」
「ふむ。大三角を作り出しているはくちょう座のデネブは左側、こと座のベガは上、わし座のアルタイルは右だ。そのアルタイルの近くに、もう一つ強く光っている星が見えないか?」
チーホンの言う通りに星を見てみると、確かにアルタイルの近くに、アルタイルと同じくらいに強く光り輝く星がある。
「確かにあるね。これがどうしたの?」
私は望遠鏡を覗くのをやめて、チーホン局長に向き合った。
「星空の観察は毎日しているわけではないが、観察をしたのは一昨日だ。あんな風に突然星が出来ることはまず無いのだ。あれは何なのだろうと、君の意見を聞こうと思ってな・・・」
「突然出来た星・・・?」
まさかね。偶然にしては出来すぎている。私が名付けたアルの、省略しない本当の名前は「アルタイル」というのだ。そんな子が、星になってその名前の星の近くに見えるなんて。そんな訳が・・・
でも、あの子は空から堕ちて来た子だ。星座から零れてこの世界に来て、空に帰ったのかもしれないなと納得してしまった。
アルがよくやっていた、口に手を当てて、まるでいたずらが見つかった時のようにふふふと笑う仕草を私もしてみる。耳のピアスが、シャラリと音を立てて、まるでそれがアルのように笑ったような気がした。
終わり