今年の大河ドラマ主人公は紫式部。千年以上も前に「源氏物語」という五十四帖からなる長編小説を書き上げた平安女流作家…というのが一般的な知識。しかし、中学の頃から彼女の大ファンで源氏物語の(多分)オタクな私は、録り溜めたドラマを一気見して頭が限界突破した。
昨年のどうする家康は解釈違いで離れた私。今年も解釈違いだったらどうしよう…と心配したが、そんなの無用だった。平安時代というのは女性の記録は極端に少ない。本名が現在まで伝わっている女性というのは天皇家や超上流貴族の奥さんになった人くらいで、現に宮仕え前の紫式部も記録上は「藤原為時の娘」としか残っていない。だからドラマで呼ばれている「まひろ」も実際の名前では無いだろうし、生年月日がよく分かっていない紫式部の若い頃など、大部分が想像で描かれたもので史実ではない。母親は弟惟規(兄説もある)を産んだ直後に亡くなったとも言われてるのに殺されたし、早死にしたお姉さんがいるとも言われてるのにドラマではいないし…。不確定要素が多いからこそ、捏造だらけでもそうだったかもしれないなーと楽しんで見てられる。そもそも今6話まで放送されているわけだが、伏線の散らばし方が上手すぎる。それは今後の式部の人生に対してもだし、源氏物語の内容にも及んでいる。大河ドラマの展開を楽しんでいる人のために詳しくは話さないが、「あ、これ源氏物語に出てくるやつだ」とか、「ここでの繋がりが今後あの関係になるわけだ」とか源氏物語を2周し、紫式部の本を読み尽くしている私にとっては感心するばかり。最新の6話では漢詩の会に式部、為時、清原元輔、清少納言、道長、道隆、貴子、行成、公任、斉信(後ろの方、演者さんと役名が結びつかずよく覚えてない)が出てきたわけだが、あー超知ってるこれから式部とも清少納言とも関係持ってくる人たちじゃんと感動した。ちなみに、記録上では紫式部と清少納言の宮仕え期間は被っておらず、「紫式部日記」と「枕草子」の中で本当に間接的に罵り合っているだけでこの2人は直接会ったことがないとされているため、たしかにこういう機会があったのなら会っていてもおかしくないなと納得した。
今回の大河ドラマは史実通りに、でも面白さも追求しているように見えた。源氏オタクとしては今後も見守っていきたい。