第一回歌会ムゥムゥ

亀茶
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2024年3月13日に(主催:メリさん、サポート:トラネさん)開催された歌会ムゥムゥに参加しました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

① まだ夢に見るがもう二度と来ぬ明日はたぶん晴れるなと感付ける今日

これを初めて読んだときレノックスかなと思いました。革命時代を経て、400年はてしない旅を続けてきた彼。その道すがら新しい時代をのために駆けてきた日々。沈みゆく夕焼けを見ながらその日々を思い出していたんじゃないかなぁと。はてしない旅の中で、沈みゆく夕陽の中で、あぁ明日も晴れるなとなんとなく思う今日。未来と過去を思いながら一日を終える彼。すごくレノックスらしさが溢れていて、大好きです。

② まだ柔い枝に差し込む鋏越し選ばなかった明日が見ている

こちらの一首は最初すごく難しく、誰なんだろうと考えていました。なんとなくネロかフィガロかなぁと。フィガロなら診療所ラプソディのことを思い出しました。一方ネロとしてみたとき全体的な情景が浮かんできて、彼のお店で窓辺に置いた観葉植物の腐った枝を鋏で切り落とすネロ。盗賊団だった選ばなかった明日を見ながら、その枝を切り落とす姿。何気ない日々を過ごしながら、捨てきれなかった過去を思う、光の中にある影を思う素敵な一首でした。

③ 音であり粒子であり色であり 無である私 見よこれも死だ

全体を詠んだときにホワイトかパラロイのオーエンの一首かなと思いました。パラロイの彼は一度記憶を消されてるので…。記憶というデータを削除する行為そのものが「死」だと思っている。そしてその死んでしまった記憶は「音であり」「粒子であり」「色であり」「無である」その死んでしまった記憶も「私」である…。のかなぁ。解題で欠片ムルだったんだ…と一番驚きました。ときめきの一首でした。

④ 窓辺から孤独を溶かす春雷は送る光にゆるしを受ける

これはオズからアーサーへ向けた一首なのかなと思いました。ただ「ゆるしを受ける」とあったので、ここの部分が強い絆に当てはめられるのかなと解題を聞くまでうまくまとまらなかったのですが、改めてシノの一首としてみたときにヒース看板のクリスマスイベントを思い出しました。幼馴染のお互いにとって、冷たい雪を解かす温かさと、春の嵐の雷。そしてそれはシノの歩んできた人生の光となった。印象がガラッと変わる素敵な一首でした。

⑥ ただいまを知らずに石と化す前に捧げたかった おかえりなさい

この一首を詠んだとき盗賊団にいた頃のネロを思い出しました。ネロは盗賊団時代に石になってしまった仲間の命日にその人が好きだった料理を作っていた(たしか2周年のスポエピだった気がする)。仲間一人ひとり大切に思っていた彼だからこそ、送り出した後「おかえりなさい」と伝えたかった。「ただいま」に続く「おかえりなさい」の言葉がネロの祈りのように聞こえてきました。彼の過去をのぞいてしまったような哀愁漂う素敵な一首でした。

@kametya
文字と絵とぬいの世界にいます。