いつからだろう。
いつから自分はここにこうしているのだろう。
ここに捕らわれてからもう随分と経ったような気がするが、実際には自分が感じているほど時は経っていないかもしれない。
ただ一つ解っているのは、自分は死ぬまでここでこうしていなければならないという事だ。
最初のうちはなんとか逃れようと足掻いていたが、もがけばもがくほどに、自由は奪われ、この身は傷ついていった。
見えない糸に絡め捕られ身動きできないでいる。
自由に森の中を舞っていたのはいつのことだったろう。
遠い昔のような気がする。
あの頃の私は、自分の棲む森がどんな処なのか解っていなかった。
暖かな木漏れ日と鮮やかに咲く花々に目を奪われて、下草の陰や繁みの奥に潜むものに気付かずにいた。
全てが光耀いているように思っていた。
何も知らずふわふわと舞い、そうしていつの間にか透明な糸に捕えられていた。
気が付いた時には既に自由は奪われ、ただ力なく震えるばかり。
再び舞うことは適わず、傷つき疲れた身を束縛に委ねている。
もう、もがく力も残っていない。
癒されぬこの身に絶望とも諦めともつかぬ思いを抱え、私は姿無き者の訪れを待っている。
虚しき希望を白昼夢に見ながら、終わりの時を待っている。
(2005/2/2)