日記 260401~260407

神丘 風│短歌
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公開:2026/4/20

0401

くもり。勤めている事業所に新しい利用者さんがやってきた。特別支援学校を卒業したてほやほやの18歳だ。うちの事業所にはこうしてコンスタントに新卒で毎年数名が入所する。朝、昨年やはり新卒で入った数名に、「今日からあなたたちも先輩になるね」と話しかけると「うわーそうじゃん!」「緊張してきた!」と焦りだした。そうだよね、体験する前から実感を持っておくのってむずかしいよねえ。

例年どおり、互いに自己紹介をしあう時間を設けた。スタッフがマイクを向けて、「お名前は?」「〇〇です」「みなさんからどう呼ばれたいですか?」「△△って呼んでください」「わかりました!では△△さん、最近のマイブームを教えてください」……といった感じ。利用者さんが気になっているものや夢中になっていることがわかるのでスタッフにとってもありがたい時間だ。日頃人前に立つ機会に乏しい人が多く、半分くらいはかちこち、もう半分の緊張知らずな人たちは張り切って楽しんでいたのが印象的だった。

昼食後、この日からスタートした自転車の青切符について伝える時間を取った。傘差し運転、無灯火、一時不停止、ながら運転などなど。おれの愛車をフロアに持ち込んで、警官役と運転役、信号機・遮断機役(?)の3人で寸劇した。そのあとはクイズを出題して振り返り。興味を持って取り組んでくれたと思う。

なるべく安全に、本人の力で危険を回避して通所してほしい。

0402

晴れ。コンベクションオーブンが壊れてしまい、しばらくうんうん悩んで口コミを見たり、ふたりで家電量販店をまわったりしていた。つけてあった延長保証が切れてから壊れるんだから、小憎らしいといったらない。

うちはオーブンとレンジとを分けて持っている。オーブンレンジひとつきりでは、壊れたときにどちらもの機能をいっぺんに失ってしまってすごく困るだろうと思ってのことだ。そういうわけで、オーブンはだめになったけれどレンジは無事。焦らず腰を据えて探すことができた。

パートナーがときどきパンを焼いてくれるし、おれはおれでパウンドケーキだのクッキーだのを焼く。それに、クリスマスくらいは丸鶏のローストチキンも食べたい。コンベクションオーブンの同じ機種を買い直す手もあったけれど、庫内の広さや手入れのしやすさなどを考えて今度はオーブンレンジを買うことにした。というか、コンベクションじゃないオーブンとなるとレンジ機能があるものばかりだった。日本の狭い住宅でどっちも置くほうが少数派なんだろうな。でもレンジ機能、要らねえな……と思いながら、さらに相談を重ねた。

予算と機能、そして置き場所の3つを考えて、石窯ドームのミドルレンジ(型落ち)に決めた。それがついに届いて試運転したのがこの日。愛用していた先代に申し訳ない気持ちもありつつ、新しい家電ってやっぱりうれしい。ダイヤルをいじったり自動メニューを確認したり、「使ったあとは庫内を軽く拭き上げるだけでお手入れが済んじゃいます」「えーーっ、お手軽ですね!」とテレビショッピングごっこをしたりして、ちょっとしたお祭り騒ぎだった。

石窯ドームのパッケージ

この街に引っ越してきて5年が過ぎ、当時購入した家電の寿命も折り返し地点。今後もたびたびこういうことが起きるのだろうなと思うと、少し憂鬱ではある。たとえば炊飯器なら構わない、鍋で炊けばよろしい。洗濯機もまあ、少しの間ならコインランドリーでどうにか。冷蔵庫、これは困る。真夏のさいたまで食材を冷やせないのは死活問題だ。買ってまだ4年くらいだけれど、冷凍庫が少し窮屈なので、もう何年かしたら壊れないうちに買い替えるのも手かもしれない。

こんなふうに考えられるようになったのは最近のことだ。何万円もの出費について、今でも慄きこそするものの不可能ではない経済状況になってきた。こうして自分の暮らしをよくしていけるのは、やっぱりいっしょに暮らす、自分で選んだ家族がいるからだと思う。

それにしても、試運転で焼いたピザ、美味しかったなあ。

0403

晴れ。午後、パートナーからメッセージが届いた。今夜は暖かいのでお散歩しませんか? おれはそれに、じゃあ夕飯前に行こうよ、と返事をした。米を仕掛けていくとのことでおかずの相談があり、簡単で楽しいものとしておうち焼肉をすることに決定。近所の精肉店で見繕ってもらうことになった。いいでしょう、近所に精肉店があって。

仕事を終えて合流。本当はまた桜を見に行きたかったけれど、案外暗かったのでやめにして、駅のほうをぐるっとまわってみることにした。目当ての店やイベントなどもなしにその辺りを歩くのは久しぶりのことだった。行ったことがない店のテイクアウトの案内を丁寧に読んでみたり、人の家に実っている柑橘を羨んだりしながら40分くらいもふたりでのしのしめぐり、少し汗ばんで帰宅。ホットプレートを出してきて肉をつぎつぎ焼いた。始まる前はもう少し食べたいかなあと思う量だったけれど、食べ終えてみるとちょうどぴったり、ほどよくおなかいっぱいになった。寄る年波……と言いかけると「しっ、気づかれるぞ」とパートナーに止められた。何に。

ホットプレートで肉を焼いている

0404

雨。上司夫妻とカラオケへ。上司と仲良過ぎない? とお思いのかた、おれもそう思っています。

上司といってもプライベートで会うときは全員が下の名前で呼び合うし、流れで仕事の話になることもあるけれど、当然そこで何かを決めたり叱責を受けたりすることはないので気楽。おれたちも気に入っているし、向こうもおれたちとの交流を気に入ってくれていると思う。仕事仲間という枠組みがあるからかえって安全に過ごせているのだろうな。なんにせよありがたいことだ。

この日は11時にカラオケ集合、フリータイムで入室とかいう学生まがいの動き。ドリンクバーにソフトクリームがついてきたけれど、まあみんな大人だし食べてもひとくちかなあと勝手に思っていたら、上司がさっそくうずたかく盛ってきたので笑ってしまった。わんぱくか。じゃあおれも、と2回半くらい巻いて部屋に戻るとパートナーが「私のは……?」という目で見つめてきたのでUターン。自分のより気持ち丁寧に巻いて帰ると「さっきも思ったけどなんでそんな上手いの」と上司に笑われる。器用度ボーナスがうまれつき3あるから……?

この人わたあめ巻くのも上手なんですよ、とパートナーが暴露する。うん、まあ、それはそう。某しゃぶしゃぶチェーンにあるわたあめ機を観察して、まあるくふわふわにするにはどう巻けばいいのか真剣に考えた。何回かチャレンジしてコツを掴んでからはちびっこたちの尊敬の眼差しを独占している。単にちょっと凝り性なんだと思う。みんなが本を1冊読む時間をおれはわたあめとソフトクリームの上達に充てただけ。こういうとき笑ってもらえるならその甲斐があったというものだ。

結局カラオケには18時までいて、その後わが家へお誘いした。オーブンを新調したので、焼きたてのピザでもいかがですかと言って。さらに近くのスーパーでめいめい好きな飲み物とおつまみを買って宅飲みというわけ。ますます大学生じみている。

うちで漬けた果実酒なども出しながら日付が変わる頃まで楽しく過ごした。ねこどもはすっかりふたりに懐いて、もはや当然といった顔で膝に乗ったり抱っこをせがんだり。「実家の犬よりも懐いてくれてる……」と酔った上司はめそめそ喜んでいた。

0405

薄ぐもり。お昼に回転寿司に行った。カウンターを選んだらスッと入ることができてよかった。いつも行くのと同じチェーンの別店舗だけれど、酢飯の酢がちょっときついような気がするとパートナーが言う。でもこれはこれで悪くないよ、とのこと。花粉症だからかあんまりよくわからなくて残念だった。

3日に諦めた桜を見る。散り始めてはいたけれど、遊歩道が淡いピンクに満ちていて、これもこの時期だけのものと思うとうれしい。ふたりで写真を撮った。

そのあとはショッピングモールへ。次の週末に友人の披露宴があり、ふたりともお招きいただいた。その日のパートナーのワンピースを飾るのに手持ちのアクセサリーではどうもしっくりこないので、何かすてきなものはないかと繰り出したのだ。

ほうぼう見て諦めかけたとき、お祝いの気持ちを表すのにふさわしい、やわらかな華やかさをまとったブローチを見つけた。途切れのない円かな姿は縁起がよいように思われ、当日つける予定のほかのアクセサリーとも仲良く並ぶことができそうだったので購入に至った。やれ助かった、間に合って何よりと胸を撫でおろし、春服に後ろ髪引かれながら帰途についた。

0407

晴れ。オーブンが壊れて買い替えた話をしたけれど、なんとテレビも壊れかけていて、このたび手放すことにした。このテレビはパートナーと暮らし始めた18年2月に実家からお下がりにもらったもので、当時すでに10年選手だった。それから8年、じつによく健闘してくれたと思う。

とはいえ、わが家は民放をほとんど観ない。NHKなら観るかというとそうでもない。おれはもっぱらラジオでニュースを聴くし、パートナーも無為にテレビを点けておくことを好まない。18歳のテレビにはfireTVスティックを挿し、主に動画配信サービスの再生に尽力してもらっていた。

こういう使い方ならべつにテレビでなくともいいのでは、という話は以前からしていて、今年に入りいよいよ挙動が怪しくなってきてからは、AndroidOS入りのプロジェクターなどを探していた。それがこの日届き、さっそく使ってみようと箱から取り出したときの写真がこちら。

プロジェクターが入っていた箱の中にはまり込むようにして座るねこ

きみの巣ではないのよ。いいけど。めんこいね。

気を取り直して『葬送のフリーレン』を観てみた。真っ暗でなくともきれいに映るし、本体の音質が気に入らなければすでに持っているスピーカーをBluetoothでつなげばよさそうだ。これでパートナーが愛してやまないロード・オブ・ザ・リングシリーズなんて観たら最高だろうな。どこか間延びしたような、説明の足りない邦画も案外相性がいいかもしれない。

テレビがなくなったテレビ台(にしている文机)はとてもすっきりしていた。黒い大きな無機質の四角が部屋の目立つところにでーんとあるのは、あまりいい気分ではなかったんだな、とテレビをどけてから気がついた。

しばらくはプロジェクターのみで暮らしてみようと思っている。そのうちやっぱりテレビが必要だぞと思ったら、なるべく控えめでおとなしそうなのを選んでみるつもりだ。

@kamiokafu
エッセイと日記と短歌。 ✦Bluesky: bsky.app/profile/kmtrf4.me