亀の甲羅

kamone
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亀の甲羅はあばら骨。皮膚や内臓という意見もあるが、正しくはあばら骨らしい。

子供の頃は亀の甲羅は着脱可能なんじゃないかと思ってた。ヤドカリみたいに、必要な時が来たら脱ぐことができるのかと思ってた。

寝つきの笑い子供だったから深夜テレビをよく見てた。たしか小学2年生くらい。すっぽん鍋のお店に行った一行が大将にすっぽんを見せてもらっていた。テロップなしに、すっぽんの解体ショーが始まった。

すっぽんの甲羅に包丁をいれる。それを見た時に亀は甲羅を脱ぐことができないんだと知った。感覚的には内臓を分解されているように感じた。

初めて見た動物の解体だったと思う。それはあまりにもグロテスクで、ミドリガメとすっぽんの違いを詳しく知らない子供の私には、ただただかわいそうに映った。僅かながらモザイクはかかっていたけれど、真っ赤な血が生々しい。

食事シーンになると、大人たちはしきりに「元気が出る」と言っていた。元気が出るってどういう意味かわからなかった。子供だから走ったら疲れる感覚はあったけれど、大人の感じる疲労感は理解できるものではなかった。「滋養強壮」なんてさっぱりだ。

元気をもらうためにすっぽんを食べている大人たちを見て、食べられるすっぽんがかわいそうでならなかった。小さい体からあんなに真っ赤な血が流れるだなんて。私には元気になるために、亀を食べることはちっともわからない。ただ亀の甲羅は着脱不可能、甲羅は大事な体の一部だと理解した。甲羅、赤、甲羅、赤。ちゃんと血が流れてる。それだけがわかった。

大人の私はそれから数えきれないくらい動物を解体する映像を見たし、動物同士の捕食の映像も見た。すっぽんの解体なんて比べものにならないほどに、グロテスクなものだ。思考がかわいそうで止まるのは、大人の私には受け入れられなかったから。そのことについては、別の機会に。

ちなみに今はすっぽん食べることは特に何も思いません。機会があれば食べるかもくらい。大人ってマジで元気ないんだよ、子供。でもあの映像を見た時の衝撃はいつまでも忘れたくないなとは思う。大人って残酷かもね。

@kamone
猫と犬を愛し、雑文を書き散らかす。病める時も健やかなる時もハイアンドロー。ここは思考の赤ちゃん置き場。noteも書いてる。note.com/_kamokamone