https://store.steampowered.com/app/2520000/HYNPYTOL/
一見するとよくある倉庫番系パズルゲームなのだけど、様々な点で光る逸品。レトロなドット絵と曲、スナップ感のある気持ち良い動き、ストーリーや演出と連動したギミック、随所に散りばめられたジョーク等々、プレイしていて実に楽しかった。
トレーラーから光るものを感じて買ったのだけど、結果は大満足。なのでトレーラーを見て惹かれるものがあったらプレイして損は無いかと。
パズルとしては倉庫番系なのだけど、先ず操作方法が独特。できることは「腕を伸ばす」「腕を縮める」の2つだけ。
腕を伸ばすと何かを掴むまで一気に伸びる。腕が壁やNPCを掴んだ状態で腕を縮めると自分が相手の方に引き寄せられるので、これを利用して移動する形。掴んだオブジェクト次第では「移動後にオブジェクトが消える」「移動先のNPCとの話が始まる」「逆にオブジェクトが自分の方に引き寄せられる」等と起きる事が変わる。
初見でも操作の理屈は分かったものの、独特さ故に慣れるまではかなり混乱した。結構な制約のある移動方法なので、盤面が広く見えても出来ることは大分限定されていることは多い。かといってパズルが簡単過ぎるかというとそんなことはなく、むしろ独特の制約から閃きを要求されることが多かった印象。難しく感じたとしても大体何かを見落としているだけだったりするので、そう言う意味では実に良い塩梅の難易度設定に感じた。
(2024-06-09追記) 操作方法はStandardとAssistの2種類がある。ゲームパッドでプレイする場合はAssistでプレイした方が良い。自分はゲームパッドかつStandardでプレイしていたので余計に苦労していた模様。
体内の免疫系がモチーフで、タイトルのHYNPYTOLも韓国語で白血球のことらしい。個々のレベルも基本的には「体内に侵入したウィルスを破壊する」ことが目標になっている。広いマップを移動しながらNPCの話を聞いたりパズルを解いたりという流れになり、プレイしていて飽きの来ない作りになっている。
独特の操作形態から移動にかなりの制約があるので、広いマップに見えても何処に進めば良いかは自明になっている。しかもその移動の途中で必要なNPCの会話は漏れなく挟まるようになっていたりする。この点は制約を上手く利用して自然な流れを作っていて感心した。
ウィルスの破壊もNPCとの会話も相手とハイタッチして行う形なのが何ともコミカル。話せるNPCと同じラインに立つとそのNPCがハイタッチしようと腕を伸ばしてくるのも面白い。
色んなセリフやレベルに何処かで見たような気がするものが散りばめられていることもある。分かる人には分かるイースターエッグという感じで、大量という程ではないけど、少なからず仕込まれてる印象。実績にもイースターエッグ発見系が多く用意されているので。
全体を通してストーリーはあるものの、免疫系がモチーフなので概ね先は予想ができる感じではあった。一方で最初はコミカルに見えた世界が徐々にそうでもなくなっていく演出は実に良かった。
クリアするだけなら6時間くらい。実績埋めの為にイースターエッグを探し始めるともっと掛かりそう。
全編を通して演出に力を入れている印象はあり、パズルとしての難易度も程良く、プレイしていてとても良い体験が得られた。クリア後に流れるクレジットも曲に合わせた動きが実に気持ち良い。開発元のbase0の次回作に期待!
なお、クレジットで他にも印象的だったのはローカライズ担当者のパート。大体のゲームだとサラッと名前が出て終わりだけど、HYNPYTOLは個々のローカライズ版のタイトルロゴと共に担当者の名前が表示されていてとても良かった。