9/19
疲れているけれど、今後の天気がよくないこともあって無理やり外出。今年に入ってから通っている渋谷のカフェのランチプレートはラストオーダーが14時で、それに間に合うように家を出たはずだったのだけど、前に並んでいる方もいて14時を過ぎてしまった。30分ほど待って自分の順番が回ってきて、注文をどうしようかと悩む。ランチプレートが頼めないのなら思い切ってスイーツを二種類頼んでしまおう。かぼちゃのタルトとスコーンを注文。スコーンは4種類のソースから選べてベリーを選択。ホイップと合わせて目一杯乗っけて食べる。かぼちゃのタルトはもう食べるのが3度目くらい。間違いなくおいしい。でもやっぱりどちらも頼むと途中でお腹いっぱいになってきて、ひとつでよかったかもしれないと思う。

そうこうしているうちにもう映画の時間が迫っていて、慌てて店を出る。ヒューマントラストシネマ渋谷で『ドラマなふたり』。前二作を観て、クリストファー・ボルグリの作品は合わないなと思っていたのだけど、今回はキャストに惹かれて結局鑑賞。やはり多用されるズーム、妄想が入り混じる展開、キーになるアイテムををジャンプスケア的に使う演出がまったく好みではなかったのだけど、ラストが意外にも優しく、ボルグリの露悪さが抑えられていたのでびっくりしてしまった。正直、この終わり方でなければ、またかと思ってただ記憶から薄れる映画になるだけだったと思うので、よかった。
9/20
言うべきではないことを言ってしまった。当事者として、その痛みやもどかしさは嫌と言うほど分かっているはずなのに、自分の気分の落ち込みもあいまって送るべきではない言葉を送ってしまった。取り返しがつくはずもなく、ただただ、ひたすらに後悔している。こんな時に頼れるのは結局のところ音楽で、Daughterのアルバムを延々と再生していた。『Not To Disappear』というアルバムの素晴らしさについて語りつくす言葉を持ち併せていないけれど、とりあえずまだ持ち堪えようと思わせてくれるほどの美しさと切実さをもった作品であることだけは言える。Fossaという曲が特に好きで、この曲に救われた人たちがRedditで話している様子を読んで少し涙した。
今日はモスバーガーで伊藤亜紗『手の倫理』を読み終えた。読み始める前は、こんなにも忘れがたい読書体験になるとは思っていなかった。道徳と倫理の違いを踏まえた上で、触覚は不埒な存在であるからこそ、それは道徳を揺さぶる力をもっているのだという。そして、触覚は私たちを倫理へと近づけていく。触覚によってもたらされた複雑性を前にして、何を考え、どう行動するのか。この本のすごいところは、読んでいくうちに個人的な体験や記憶も呼び起こされ、深いところまで連れて行ってもらえるような心地になる点だと思う。後半を読むにつれて、前半で説明されていたことに対する理解も進んでいくように感じられ、静かに興奮しながら読み終えた。個人的に、この本で語られていることは濱口竜介『急に具合が悪くなる』で感じたことや引っ掛かりに対して多くの部分で説明を与えてくれるもののように思った。この感動を忘れないうちに、と、伊藤さんの『体の居場所をつくる』もそのまま書店で購入した。
自分の中にあった異質なものに導かれていくこうした感覚こそ、実は状況に深く分け入り、伝達的でない仕方で他者と出会い、その中に入り込み、持続的に関わっていく、その導き手になりうるのではないか。触覚は道徳的ではないかもしれない。でもそれは確かに、いやだからこそ、倫理的でありうるのです。
伊藤亜紗『手の倫理』p.202
9/21
今日は台風で一日家で過ごすことが決まっていた。それなら、と半年ぶりにオンラインでカウンセリングを受ける。カウンセラーの方は本当に素晴らしい人で、おそらくこの人以上に自分に合っている人はいないと確信しているのだけど、やはり金銭的な負担が高く、なかなかコンスタントには受けられていなかった。今日は具体的に相談したいことがあったため、事前に相談内容を細かく記入しておく。受ける前と受けた後では、心の重さも視野の広さも何もかも変わってしまうくらいに貴重な時間だった。序盤はわたしが話したいことをばーっと捲し立てていたのだけど、途中に挟まれる質問で思わず昔の自分の経験を開示してしまったりと、どんどん心が開かれていく感覚に本当に驚かされる。特に役に立ったのは、わたしが自分の役割を認識しすぎてしまうという過去の相談ともリンクした内容から、役割を認識せずに一人だけでできることを考えてみようという提案だった。その場で図を作ってくれ、わたしは映画や展示を観て感想を書くこと、人のレビューを読んでさらに考えること、散歩に行くことなどを大切にしていると伝える。すると、この図を時間があるときにもっと細かく書いてみることで、自分が落ち込んでしまったときにいつでも立ち返ることができるのだと教えてもらった。何事も白黒つけず、グレーなままでも大丈夫というアドバイスもありがたかった。カウンセラーでありながら、実際の心療内科で双極性障害に対してどのような治療、投薬が行われるのかといったことも熟知しており、自分の状況を詳しく説明せずとも話が進んでいくことも心理的負担が少ない。今日はアーレントの言葉を引きながら説明していただいた部分もあり、セッション中に自分の知的好奇心も満たされるという経験だった。