人生で唯一心に残っている手紙がある。
その手紙の他の部分は忘れたが、「貪欲にしたたかに、生きなさい」と書いてあった。
大学4年生の時、インターン先のボスからもらった卒業の手紙である。ボスは一人一人に最後に手紙をくれて、他の人には何て書いていたかなんて知らない。なんでこれがこんなにも心に残ったかはわからない。正直、この手紙をもらったからと言って生き方も変えてない。
でもあの手紙には確かに力があった。
日本語が下手な私には最初この文章がパッと来なかった。でも、なんかすきだった。この好きは、私でなければ感じ取れないし、ボスからの手紙じゃないと感じ取れないだろうなとも思う。関係性があってこその文。ボスが私に向けてこうやって生きたら貴方は強いだろうと思って授けてくれた、私の強みになる言葉だと思い、一生懸命どんな意味か吸収しようと思った。
生き方は変えてないがたまにふと思う。貪欲でしたたかに生きなさい。私はそうやって生きてけてるだろうか。
3月に結婚式をした。親族だけの参加者20人の小さな式だ。
席がないため席次なく出欠をどうやってとるか考えた時に、手紙を書いて渡せばいいと思った。ボスの手紙が頭をよぎる。私も人に心地よさを与えられる様な、もらった人がその人の強みに変換できる手紙を書きたい。
式が終わった後、唯一来てくれた2人の内の1人の友達からお礼のメッセージが届いた。本当かはわからないが手紙が嬉しかったと。こちらこそありがとう、私の想いが響いて嬉しかったよ。