私の母は、41歳で第一子である私を産んだ。今では珍しい年齢ではないかもしれないけれど、当時は高齢出産とか呼ばれていた。
父とは10年後に離別を迎えている。そのことはまた別の機会に書こうと思う。
高校生くらいから、母に対して嫌悪の念を抱くようになった。常にイライラを感じている自分がいた。
きっかけというか理由は、母が私を「ビジネスパートナー」と呼んだことだと思っている。母は50歳を超えてから自営業をはじめて、パソコン操作関係のサポートを高校生くらいからしていたのだ。
「あなたがいないと仕事にならない」そんな言葉をかけられたこともあった気がするけれど、私は、娘として扱ってほしいという気持ちが強くてイライラをつのらせていた気がする。
けれど、母を1人にすることは考えられなかった。今でも東京生まれ東京育ちの母を神戸に呼び寄せ、半同居生活を送っているのだ。大学も、会社も、実家から通っていた。それゆえ私はひとり暮らしの経験がない。
私が結婚して、妊娠・出産を経ても母へのイライラは変わらなかった。母はどこか世間の常識から逸脱していて、母がおかしい人なのだと思っていた。
26歳で結婚・出産して、15年が経ち、私は今年41歳になった。
母が私を産んだ年齢になってみて、不思議とイライラが減っているのに気づいた。その前まで母への怨嗟のこもったエッセイ文などを書いたりしていたのに。
老いた母にいま抱いているのは、平穏な日常を送って欲しいという思いかもしれない。かつてすさまじかった仕事への執着も今はほとんど見受けられなくて、安心したところもある。
結局、私は仕事に母を取られたような気持ちになって反発を続けていたのかもしれない。長い反抗期だった。
そして今、12歳の次男の反抗期に直面し、完全にブーメランを食らった気分になっている。ああ、それもあって、イライラ収まったのかもしれないな。母の気持ちが少しはわかったのかも。
あと何年この関係でいられるかわからないけれど、穏やかな日常を提供し続けたい、今はそんな気持ちになっている。