｢スター｣ 朝井リョウ
ーないものを、あるように見せることがうまい奴らが、どんどん先へいく
ー本当はもっと皆思っていることとか考えてることとかがあるって分かるんだよ。そこにあるものが、ないようにされてるときがある
この対比が、チャットモンチー｢きみがその気なら｣を思い出した
ー嘘を本当のように売ってしまわないで
本当を笑いに変えないで
本当を嘘でつぶしてしまわないで
微笑みを忘れないで
今から突然ヒカキンの話をしますが、
ヒカキンが、マッシュルOPの完コピをした動画を彼に見せてもらった。
最初は、ヒカキンがいっぱいだぁ〜くらいにしか思ってなかった。
けどそのあと、MVメイキング映像を見せられた。
4日間ほぼ寝ずにつくっていたらしい。それを見た上で、本家のMVと一緒に並べてみると正直その完成度の高さに感動した。
ヒカキンってまじで全然面白くないのに崇拝されていて、意味わかんないな、何も無いのに。
とか思ってたし今も全然ぶっちゃけちょっと思っちゃってるけど、あのよく分からない努力と情熱は「ほんとうだ…！」と思ってしまった
周りの付き合わされたスタッフさんたちはどう思ったか分からないけど。
マッシュルのMVを完コピすることにどんな意図が、意味があったのかも分からないけど。
ー多様性って一人でやるもんでもなくてさ、同時代に色んな人がいて色んな作品があること、じゃん。
色んな極端が同時にあるっていう状態が''多様性''なわけで、私たちは一つの極端でしかないわけじゃん。そんなの当たり前だったはずなのに、そこがごちゃ混ぜになってる感じない？今って
全方向に対して''大丈夫ですよ〜あなたの生きづらさもナデナデしたあげますよ〜社会が良い方向に変わる答えが描かれてますからね〜''みたいな空気のものばっかりだよね、特にあんたたちの世代が創るものって
答えって答えとして差し出されても意味ないんだよね。私は答えより問いが欲しい。シロでもクロでもなくて、グレーを描けるのがフィクションじゃん。
長い抜粋をしてしまったけど、本当にそうだと思った部分。
またまた長い抜粋をしてしまうけど
ー世界はどんどん細分化していって、自分が感知できる範囲もどんどん狭まっていって…
騙されたがっている受け手が先にいるのか、騙すつもりの送り手が先にいるのか、外からは判断できないくらい、みんながそれぞれの空間の中でやりとりをするようになる。それのどっちのほうが良いかなんて、もう誰にも判断ができない、判断する資格もない
ーでも、越境しますよね、素晴らしいものは
どんな相手に差し出すときでも、想定していた相手じゃない人にまで届いたときに、胸を張ったままでいられるかどうか
ー時代は変わるんだからって諦めながら前に進む、みたいなのはやっぱり性にあわなくて…
ムカつく等号ばっかりの世界になっても、それでも越境を信じることをやめたら終わりなのかなっていうか
この一連の会話がとてもぶっささった
小中高の頃、TSUTAYAにいって、CD10枚1000円を選ぶことがいちばん楽しくて
けど今は、「＋」を押してしまうだけでほとんど全ての音楽を手にできてしまって、それが逆に、何も手に入れられてない感覚をずっと持ってるな
今は細分化された世界で、みんなそれぞれのいわゆる「推し」がいるけれども「スター」はいない
大きなCDラックを目の前にして、1時間以上ねばって選んだ10枚をずっしり抱えてたあのときと、ねっころがりながら片手で「＋」を押し続けてる今
どっちが幸せかは分からないけど、こんな時代でも生まれてくる素晴らしいものを私は絶対に見逃したくない
ので、人から薦められたものは全て観るというモットー
読んだもの観たもの聴いたものは、拙いなりにも自分の感想を持つこと
を勝手に目標にしてる
深い人になりて〜〜〜な。