むかしは文章を書くのが好きだったのに、大人と呼ばれる年齢になってから書く文章らしい文章といえば仕事関係のものばかりになってしまったなあ、ということを最近ふと思いました。いろいろあっても仕事は好きだし、むかしに戻りたいとも思わないけれど、子どものころの自分がもし今の私を見たら、すこし寂しく思うかもしれません。
そんなことを先日久しぶりに会った友人に話したところ、「しずかなインターネット」の存在を教えてくれました。世の中にあふれる数多のSNSを、行ったことがないのに「東京はおっかねえところだ」と言い張るおばあちゃんなみの認識で避けてきた(でも遠巻きに眺めてはいる)私の脳みそに、なんだか穏やかで優しそうなその名前は一瞬でインプットされました。
だれも読んでいないかもしれないし、もしかしたらだれかがどこかで「ほ~」や「くすっ」と言ってくれているかもしれない。コーヒーショップでたまたま隣り合わせた人の、なんとなく耳に入ってくる、けれど席を立った時にはもう忘れてしまっているような、そんなとるに足らない言葉を綴る場にできたらいいなと思っています。
「大丈夫やで、たぶん」まだ少し胡乱げな表情でこちらを眺める脳内おばあちゃんを安心させるべく、私は適当なことを言います。「ほら、小学生のとき『あのね帳』ってあったやん。先生あのね…で始めるやつ。ごはん食べて『あのね、肉がおいしかったよ』って書いたり、すきな本読んで『あのね、〇ページの台詞がよかったよ』って書いたりするだけやから」
そういえば、あれらのノートはどこへ行ってしまったのでしょうか。何はともあれ、のんびりゆっくり始めてみようと思います。おばあちゃんはまだ信用に足らない者を見る目で私のことを見ています。