タイトルに貴様と書いたのは単に「貴様」がマイブームなだけであり、実際は自身に対して度々思っていることである。
世の中「年食ってからどうにも……」「もうトシだから……」とのたまう魑魅魍魎どもが跋扈しているのは皆さんもご存知の通りだが、もちろん物理的な劣化というものが存在しているのは承知として、本当なのか? それは本当に、トシだからなのか? 自分の「諦め」を、トシだからという5文字に込めて、目をつぶって考えないようにしているだけなのでは? とまあ、そういった持論がある。
シリアスに寄りすぎると積極みたいになるので、例えを軽くしていく。
過去に、毎夕食を「ラーメン花月」に頼っていた時期がある。今思えばあの頃あすけんの女が居なくてよかった。スペイン語で捲し立てられたあとに中指を立てられていたかもしれない。で、まあラーメン花月の「裏メニュー」ボタンを押して、チケットを持って店員の方にモンジャそばなるものを頼む。それを食べて帰る、それの繰り返し。
そうするともちろん、胃袋さんサイドとしては抗議やデモを起こすことになる。これは生きている臓器の正当な権利であるから、そこに文句を言うつもりはない。だが、当時はそのデモや抗議によって帰宅後の即トイレ確率は140%にのぼった。140%というのは、帰宅後にまず必ず1回はトイレに行き、その後しばらくして40%の確率で再度トイレへ向かうという意味だ。
ただ当時の私はこのトイレ通いについてなんの疑問も抱いていなかった。人間として正式な手続きに則って排泄をしているものと考えており、臓器達の悲痛な叫び声は聴こえていなかったのだ。
そして現在、どんな人間も時間とともに進化するもので、今の自分であればそれがわかる。臓器達の思いの丈を、下腹部いっぱいで感じ取ることが出来る。なるほどそうか、ラーメンのあとに氷水を飲み干すのは確かに問題がある。つけ麺のスープを、割り物もなく半分飲み干すのも良くない。チリトマトヌードルを全部啜り切ってはならない。なんか出てくる例が全部ラーメンだな。ラーメンは体に良くない。
ともかくここでわかるのは、自分の体について年齢を経て理解が深まったということだ。不調についての因果関係というか、これって不調なんだ、ふ~ん……という気づきだ。
そして本題に戻るが、ニンゲンが言うところの「トシだから……」の半分くらいは、実はこのように「実は過去にも発現していた不調について、年の功で気づくことが出来るようになっただけ」なのではないかと考えている。
ラーメンの例が悪すぎて読み手のイメージが固定されてはいけないので、他にも例を出す。
オールでカラオケ出来なくなってさ……というのは、もちろん体力低下も少しはあるのかもしれないが、かつてだってカラオケの中で寝たりしてたんじゃないのか。元気いっぱいに朝までぶっ続けで歌っていたわけじゃないのではないか。もしそれが出来ていたとして、その前日の昼間はずっと寝ていて、夕方に起きたからオールに行ったのではないのか。
少し趣向を変えた例もある。
「スランプになって……」というのは、下手になったというより元々下手なだけで、目が育つことでそれに気づいてしまっただけなのではないか。昨日描けていたのに今日描けないというのは、今に始まったことではなくそれがただの上ブレ、まぐれ、奇跡の一枚だっただけではないのか。
ちなみにギャンブラーの「最近勝てなくて」はいつだって真っ赤なウソで、まえから今日までずっと勝ててない。これは間違いないので覚えておこう。
話が逸れたが、ともかくトシが云々というのは劣化ではなく、自分の小ささ、弱さ、みじめさに「気づいた」だけであり、存在としては何一つ変わっていないのではないかということだ。もちろん何から何までそうだとは言わない。体を構成する細胞は子供のように出来たてではなくなっているし、様々なリスクを計算して生活するようなった人間が、それを知る以前に戻れるわけじゃない。ただ、それと同じように、何から何まで「劣化したから」ではないのだ。
少なくともそう考えていたほうが、自分の可能性を潰さずに済む。おれは自分の可能性をわざわざ潰さないし、おかげさまで今日も明日も絶好調だ。