文頭にくる「Of」について

みみみみ
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今月末に、『三体』シリーズなどで有名な中国のSF作家、劉慈欣の『白亜紀往事』が出版されるらしい。日本語版の表紙や劉慈欣の英語版Wikipediaによると、この作品の英語版タイトルは『Of Ants and Dinosaurs』である。

このように文頭に「Of」が来るような小説のタイトルとして、円城塔『オブ・ザ・べーズボール』がある。きっとほかにも例があるだろうが、わたしがはじめて出会った文頭「Of」はこの『オブ・ザ・べーズボール』のOfだった。初見では結構な違和感を覚える表現で、英語として正しいのか調べた覚えがある。円城塔がインタビューか何かで「いや、そういう用法はあります」という調子でなにかの論文のタイトルを挙げていた覚えがあるが、ちょっと探しても見つからなかったので勘違いかもしれない。

それはともかく、そういう使い方があるっぽい。英語辞書にも「of」には「~について」の意味があると書かれているし。なので論文のタイトルでしばしば「~について」の意味で「On ~」を使うものがあるけど、これが「Of ~」になってもそう変わらないだろうなあと経験的には思える。こんな具合でわたしは納得している。

しかしやはり初見では不自然さを覚える用法なので、いずれどこかで使ってみたいと思っている。いわゆる「異化」というやつ。この記事のタイトルも「Of "Of" at the beginning of a sentence」にしてもいいかもれない。

@kappa
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