今年のテーマは「珈琲」です、と書いたら、途端にアドバイスが飛んできた。
八雲珈琲店へ行け、と。
それでメッセージをいただいた翌日、さっそく行ってみた。噂の八雲珈琲店に。
お店は都立大学前の駅から歩いて5分ほど、何の変哲もない住宅街の入口といってよい小さな商店街の中にあった。
最初、喫茶店かと勘違いして探していたのだが、珈琲豆を測り売りしてくれるお店なのだった。
そんなわけで、豆を選ぶための前提知識すら持っていない僕に対して、店主は丁寧に珈琲の基本を説明してくれた。その間、3杯もの珈琲をごちそうになった。
1時間半ほど滞在し、相当の情報量を教えていただいたのだが、そんなに多くはいきなり頭に入らない。
幾つか頭に残ったことを、備忘録的にメモしておく。
◯ 苦味は味ではない
これは説明が若干まわりくどくて、国際品評会では苦味という項目が採点項目になっていないなどいったことも教えてくれたが、要は、どんな珈琲豆であっても、深く煎れば苦くなり、浅く煎れば苦味は少ないということを言いたかったのだと思う。
言われてみればなるほどで、また、珈琲を味わう際に、苦味の点を切り離して味を感じることができるようになることで、珈琲の味わいについての解像度を高めることができたように思う。それほどまでに、苦味という味は強い味で、苦味の有無だけで珈琲の味を区別してしまっていたことに気がつかされた。
◯ 冷めても美味しいかどうかの違い
100グラム1000円のスタンダードな豆(八雲ブレンド)と、100グラム3500円の高級な豆の違いについて聞いたときに、一つの違いとして教えてくれたのがこの点。両方購入して実際に自分で試してみたが、たしかにこの点は違うなと思った。
逆に言えば、その場で豆を挽いて淹れてすぐに飲む分には、スタンダードな豆でも十分に楽しめるということが分かった。
ほかにもこの十倍以上いろいろ教わったのだが、僕の器で今回受け止められた分量はこの程度だった。
で、実際問題、スタンダードな豆のブレンドが、個人的には一番好みだなあというのが現時点での感想。舌が高級豆の微細な味わいを感知できるほどに発達してないということなのかなと自分としては思っている。
とにかくスタンダードな豆のブレンド珈琲が、必要十分に美味しいのである。
手挽きの珈琲ミルでゴリゴリ挽く手間と時間もなかなか味わい深いもので、体験としてのCoffee Break総体が楽しくなってきているのだが、そのあたりはまた稿を改めて書いてみたい。
お店について情報提供してくれた廣田さんに感謝。
理想の一杯を巡る旅は続く。