正しさなんて存在しないのにわたしたちはそれに縋ることしか出来なくて、誰かと同じ感覚だと思いたかったから必死に答えを探して、自分の気持ちを全肯定する言葉を繰り返し抱きしめて、やり過ごせたようなふりをする。
わたしは本当はただしさなんて要らなかったんだ。ただあのこを傷つけたくなくて、帰り道に見せたあのこの寂しそうな笑顔、それが今でも頭に張り付いている。
正しさが最初からなかったとしても、あのこは間違いなく正しかった。それだけは今でもわかる。あのこは正しかった。だから苦しかった。正しいひとを傷つけた私は、どう考えても誤っているから。