映画として最高、とくに役所広司の演技に驚かされたし、テーマの演出も心地よかった。
感想を思いつくままにメモしておく。
ネタバレを含むので、ちょっと行数あける。
---
---
---
---
---
『PERFECT DAYS』は木漏れ日のように、日常はたとえ同じように見えても変化し続けている、その変化に着目して生きていく心のあり方を描いた映画だと僕は感じた。
(↑の文章を書くにあたって、はじめは「その生き方の尊さを訴える映画」と書こうとしたけど、その押し付けがましさはなかったな、と思い文章を書き直した。)
で、じゃあ僕がその生き方に対してどう感じるか?なんだけど、まず日常の変化に注目できる心のあり方にはとても共感した。日々の作業に没頭してしまうと何も変化していないように感じることはありがちだし、それがつまらない人生だと気持ちが沈む人もいるかもしれない。そうした人は救われる描写だったんじゃないかと。
そしてたぶん僕もその1人だった。
もう8年も前なんだけど、2014年から東京に出てきて働き始めて2年たった頃にようやく日常の繰り返しでも変化していける・変化していることに気づけた気がする。
当時の自分が『PERFECT DAYS』を見たらどう感じるかはもちろん分からないんだけど、もしかしたら自分を認めることにつながったかもしれない。
ここからは逆に、映画が描いたような生き方に対して自分が共感できなかったことを書いていく。10年とか20年とか経って以下の感想を自分が読むと「なんもわかってねーなコイツ」って思うかもしれない。
映画を見終わって感情を整理していくと、僕は渇きが生まれる日常を求めているのだろうな、と思った。
映画内では主人公の満たされなさを描いているシーンはあったものの、あれは渇きというよりは喪失感だと受け取った。
主人公は喪失感と向き合った上で、日常にある別の潤いを通して、また日常に戻っていく。それでも溢れ出てくるから、最後の車を運転するシーンにつながっているのだろう。
人生においてずっと埋まらない喪失感はある。身近な人の死もあるだろうし、どうしようもなく許せないこともある。その気持ちを直接的に満たすことはできない。
なので、主人公の喪失感への向き合い方には共感した。
僕が考える渇きとは喪失感ではなく、何かを変えたいと思う感情のことだと思う。
色んな人に話しているんだけど、僕は「チームでものづくりをすることに関わり続ける」というテーマを大事にしている。
SRE NEXT をつくった当時を思い返すと「何かおもしろいことをやりたい」「やらないと気持ちがおさまらない」という感情があって、その渇きがあったから大変なことをみんなでやり遂げられたのだと思う。
要するに、
主人公の日常における変化や差分を大切にする生き方には共感しているし、僕もそうしたい
ただし、主人公が日常を変えようとしている意志は感じ取りづらかったし、僕は日常を自ら変えていく生き方をしたい
ということだ。
『PERFECT DAYS』を見ることで、自分がどうありたいかを考える良いきっかけになった。また見てない方はぜひ見て欲しい作品。