エンゲージメントとロイヤリティ ── HR Share Advent Calendar 2025 16日目

kazuki_yakitori
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公開:2025/12/16

この記事は『HR Share Advent Calendar 2025』の16日目の記事です。

https://adventar.org/calendars/11557

Mindset Coaching Academyが公開しているYouTubeの動画をNotebookLMを使ってまとめました。要約を見ていただき、より詳しく知りたいと思われた方はYuoTubeをご覧ください。

ロイヤリティとは

1. ロイヤリティの定義:組織の「自己肯定感」

ロイヤリティは、組織における「自己肯定感(セルフエスティーム)」であると定義されています。 具体的には、「この会社は働きやすい」「私たち(社風)に合っている」といった、現状を肯定する感情や満足度を指します。

これは、人間が息をするために自己肯定感が必要なのと同様に、組織に属する上で基盤となる重要な要素ですが、あくまで「現在の環境や立場」に対する評価に基づいています。

2. ロイヤリティの特徴

ロイヤリティには以下の特徴があります。

  • 「所属(Belonging)」の概念

    • ロイヤリティは、会社への「参加(Participation)」ではなく、「所属」を意味します。これは高度経済成長期の終身雇用制度に紐づく感覚であり、「一生この組織に骨を埋める」といった帰属意識や愛社精神に近いものです。

  • 現状維持・安定の志向

    • 会社が提供する条件(福利厚生、働きやすさ、給与など)に対して満足している状態です。

  • 公平性の重視

    • ロイヤリティ重視の環境を小・中学校の義務教育に例えています。全員に等しく給食や教科書が与えられ、特定の個人だけが特別扱いされることのない、「みんな一緒」の公平な世界観です。

3. ロイヤリティの「落とし穴」とリスク

本動画では、企業がロイヤリティを高めすぎることへの警鐘が鳴らされています。

  • 変化への抵抗

    • ロイヤリティが高くなりすぎると、組織は「現状維持」を望むようになります。市場の変化に合わせて会社が変わろうとした際、「話が違う」「今までと違うことはしたくない」と変化を拒むリスクがあります。

  • 挑戦意欲の減退

    • 現状の居心地が良すぎると、難しい仕事に挑戦して評価を下げるリスクを避けるようになります。心理的安全性だけが高く、高い基準(ハイスタンダード)がない場合、組織は単なる「ぬるま湯」になってしまいます。

  • 条件付きの愛着

    • ロイヤリティは「会社が約束した環境(福利厚生や働きやすさ)」への対価であるため、その条件が崩れると「条件の良い他社へ転職する」という離反につながりやすい側面があります。

4. ロイヤリティ施策の具体例

多くの企業が「エンゲージメント向上」と混同して行っている施策の多くは、実はロイヤリティ施策であると指摘されています。

  • オフィスの内装をおしゃれにする

  • 勤務形態の自由度を高める(サテライトオフィスの拡充など)

  • 福利厚生を充実させる

これらは「所属することのメリット」を感じさせ、安心感やドーパミンを生み出す施策ですが、これだけでは新しいことに挑戦する意欲(エンゲージメント)は生まれません。

まとめ

ロイヤリティとは、組織に所属することへの安心感や満足感(組織の自己肯定感)のことです。 組織にとって不可欠な土台ではありますが、それ自体は「変化や挑戦」を生み出す力ではなく、高めすぎると逆に組織の変革を阻害する要因になり得るものです。

エンゲージメントとは

多くの場面で「ロイヤリティ(愛社精神)」と混同されがちですが、本動画ではこれらを明確に区別し、エンゲージメントを「組織の未来を変えるための原動力」として定義しています。

1. エンゲージメントの定義:組織の「自己効力感」

エンゲージメントは組織における「自己効力感(セルフ・エフィカシー)」であると定義されています。

  • 意味

    • 「今の自分たちに満足している」という状態ではなく、未知の課題や新しい領域に対して「自分たちならできる」「挑戦したい」と信じる自信や意欲のことです。

  • ロイヤリティとの対比

    • ロイヤリティ(組織の自己肯定感): 「この会社は働きやすい」「自分たちに合っている」といった現状肯定や、所属に対する満足感(福利厚生や環境への評価)を指します。

    • エンゲージメント: 現状維持ではなく、変化や挑戦に向けたエネルギーを指します。

2. エンゲージメントの本質:「所属」ではなく「参加」

エンゲージメントが高い状態とは、単に会社に長く所属したいと思うことではなく、組織の活動に主体的に「参加(パーティシペイト)」しようとする姿勢があることを指します。

  • 判断基準

    • 経営トップやリーダーが「新しい領域(新規事業など)に進出する」と決めた際、「一緒にやりたい」と手を挙げる人数がどれだけいるかがエンゲージメントのスコアであるとされています。

  • 自己変革の伴走

    • 新しい目標に対して現在のスキルが足りない場合でも、「変容して見せます」と自己変革してでも貢献しようとする姿勢(本気)が含まれます。

3. なぜエンゲージメントが重要なのか

企業が存続するためには市場の変化に合わせて事業を変革し続ける必要がありますが、人間には本能的に「変わりたくない」という性質があります。

  • ロイヤリティ(居心地の良さ)が高すぎると、変化によって現在の快適な環境が失われることを恐れ、新しい挑戦を避けるようになります。この「変わりたくない」という本能を乗り越え、不確実な未来に向けて組織を突き動かす力がエンゲージメントです。

4. エンゲージメントを高める要因

オフィスの内装を良くしたり福利厚生を充実させたりすることは「ロイヤリティ施策」であり、エンゲージメント向上には直結しないと指摘されています。エンゲージメントを高めるために必要なのは以下の要素です。

  • リーダーの「熱い思い」

    • 会社のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)をただ唱えるのではなく、リーダー(特にミドルマネジメント)自身が自分の言葉で語る「個人のパーパス」や情熱が必要です。

  • 挑戦の文化

    • 「カルチャーが人を推す」状態、つまり組織全体が高い目標に向かって本気を出し、挑戦することを推奨する文化がエンゲージメントを生み出します。

理解を深めるためのアナロジー

本動画の内容を踏まえると、以下のように例えることができます。

ロイヤリティ重視の組織

「学校のクラス」のようなものです。全員に平等に給食や教科書が与えられ、所属しているだけで安心感がありますが、突出した成果や競争は必ずしも推奨されません。

エンゲージメント重視の組織

「プロスポーツチーム」のようなものです。選手はチームに「参加」しており、勝利(新しい目標)のために自らを鍛え、必要であれば移籍も辞さないプロフェッショナルな関係です。そこでは過去の功績よりも、次の試合で勝てるかどうかが重要視されます。

@kazu_yakitori
採用や組織作りみたいな事をやりながら、猫と暮らしてます。XやLinkedInとは違い、頭の中に感じたことをただただ書いています。アドベントカレンダーの投稿も行います。