
この記事は『HR Share Advent Calendar 2025』の2日目の記事です。
事業が成長し、採用が難易度を増す局面において、多くの企業で「人事機能の専門化」が進んでいます。特に、採用を専門に担当するリクルーター、組織と人の課題に向き合うHRBPが同時に存在する体制は、近年のスタートアップや成長企業では増えつつあります。
しかし、役割が増えることは必ずしも組織の生産性向上につながるわけではありません。 役割が曖昧なまま人数だけが増えると、意思決定の遅延や責任の不在が生まれ、事業と採用のスピードが低下してしまいます。
本記事では、HRBPとリクルーターが並走する組織において、役割を明確にすることと、情報の流れを設計することの重要性について整理します。
HRBPとリクルーターは目的が同じで、担う役割が異なる
両者に共通しているのは、事業成長を支援することです。 その上で担う領域が異なります。
① HRBPの役割
HRBPは、事業の成長のために必要な「人と組織」に関わることを包括的に担います。 採用だけでなく、オンボーディング、配置、育成、評価、カルチャー醸成、マネジメント支援など、組織全体の視点で判断し、施策をリードしていく役割です。
具体的には以下のような取り組みを行います。
事業戦略や状況の理解
組織状態や課題の把握
マネージャーや経営とのコミュニケーションハブとしての役割
組織づくりに必要な打ち手の検討と実行
② リクルーターの役割
リクルーターは、採用という手段で事業成長に貢献します。 採用戦略の設計からファネル管理、候補者体験設計、意向形成まで、採用活動全体を推進していく役割です。
具体的には以下が含まれます。
採用要件の言語化と整理
採用チャネル戦略と推進
カジュアル面談による候補者との接点作り
面接プロセスの最適化
候補者の意向把握からクロージングまでの支援
両者は役割こそ異なりますが、採用と組織づくりは切り離せない関係であるため、 リクルーターは組織の文脈を深く理解していることが不可欠です。
役割が曖昧な状態では、スピードが落ちる
HRBPとリクルーターが同時に存在する組織でよく起こる課題として以下が挙げられます。
担当範囲が曖昧で、誰がリードするのか不明確
同じ情報を複数人で取りに行き、非効率が発生
事業部側が「誰に相談すれば良いか」分からなくなる
採用と組織の議論が分断される
情報共有が不十分で、意思決定に遅延が発生
人事はスピードが価値になる職種です。 役割が曖昧な状態は、採用・組織づくりのスピードが落ちるだけでなく、責任がぼやけ、成果につながりにくくなります。
役割を明確にすることが、成果を生む
HRBPとリクルーターが並走する場合、以下の点を明確にしておくことが重要です。
どの場面で誰がリードするのか
意思決定の責任範囲はどこにあるのか
採用と組織づくりをどう接続させるか
役割を明確にすると、意思決定の速度と打ち手の精度が高まります。 役割分担は分断ではなく、目的達成のための機能的な協働です。
鍵となるのは、情報流通の設計
役割を明確にしても、情報が共有されなければ機能しません。 情報の非対称性が生じると、採用や組織の課題解決が遅れる原因になります。
情報共有の原則として重要なのは、以下の点です。
両者が同じ情報を前提に議論できる状態を作る
情報を取りに行くコストを最小化する
ログとして残り続ける仕組みを作る
HRBPとリクルーターの情報共有の基本は以下の通りです。
HRBPは、事業状況、課題、意思決定背景をリクルーターへ共有する
リクルーターは、採用状況、候補者から得た情報、競合状況をHRBPへ共有する
可能な限り、事業部のMTGや候補者面談などの「生の情報」を両者で取りに行く
同じMTGへ複数名で参加しすぎると非効率になるため、役割で判断する
同期的なMTGだけではなく、SlackやNotion等で非同期の情報共有を設計する
口頭共有のみではなく、文字として残すことで情報の鮮度と再現性を保つ
まとめ
HRBPとリクルーターが共存する組織では、以下の2点が成果を大きく左右します。
役割と責任範囲を明確にする
情報の非対称性を生まないように設計する
採用と組織づくりは、本来切り離された機能ではなく、同じ方向を向いて並走することで最大の成果を生みます。だからこそ、人事体制を複数名にすること自体が目的ではありません。事業成長に必要な打ち手を強くし、スピードを上げるための手段です。
それぞれの役割を明確にし、情報が透明に流れる状態をつくることで、採用力も組織づくりも一体となって強化されていくと考えています。