昔から親戚の集まりや親同士の立ち話の空間が大嫌いだった。そのような場では、子供の成績や習い事の話になることが定番だけど、母はいつも「あの子(私)は全然できない子で...」と言うからだ。
大人になってから気付いたが、母はどうも「謙遜」と「謙虚」を一緒のものと考えているようで、謙遜すること=謙虚なことだと思っているらしい。たとえ私がどんなに素晴らしい成績を残しても、他人に褒められたときには「そんなことない」という言葉が絶対に最初に出てきて、「あの子は全然できない子で...」という流れにつながっていった。
そんな母が影響を与えているのか、私は娘が褒められるとつい真っ先に「そんなことない」という言葉が口から出そうになる。自分が母に言ってほしくなかった言葉を、今度は自分が言いそうになっている。そして、(そんなことない…じゃなくて、えーと...)と私が考えている間に、だいたい隣にいる鼻炎君が満面の笑みで「ありがとうございます~!」と返すのだ。
謙遜と謙虚は似ているようで全然違う。Googleで調べると、「謙遜とは自分の能力や価値などを下げて評価する行為であり、謙虚とは相手の気持ちをそのまま受け入れる行為」と出てきた。
他人から褒められたら素直に「ありがとう」と返せる人間になりたい。自分のことでも娘のことでも。もちろん謙遜も日本人特有の相手をたてる文化ではある。でも、必要以上に下げることはしなくていい。ただ自然に相手の言葉を受け入れる謙虚な生き方をしたい。そして娘にもそう生きていってほしいと思う。