執筆日記105

kenshiro
·

今日はジョイスの短編集『ダブリナーズ』(柳瀬尚紀 訳、新潮文庫)を読み終えた。最初の二作品くらいまではどうにか読めたのだけど、途中からは上手くハマらなくて、結局最後までピンとこないまま読んでしまった。時間を置いていずれ読み返したい(他の翻訳で読んでみるとか)。しかしどの作品も最後の一文を読んだ時に浮かぶイメージや文章の響きが美しかった。一番最後に収録されている「死せるものたち」の結びの文章の深く静かな感じがとてもよかったので、少し長いけど引用する。

カサカサッと窓ガラスを打つ音がして、窓を見やった。また雪が降りだしている。眠りに落ちつつ見つめると、ひらひら舞う銀色と黒の雪が、灯火の中を斜めに降り落ちる。自分も西へ向かう旅に出る時が来たのだ。そう、新聞の伝えるとおりだ。雪はアイルランド全土に降っている。暗い中央平原のすみずみまで、立木のない丘陵に舞い降り、アレンの沼地にそっと舞い降り、もっと西方、暗く逆立つシャノン川の波の上にそっと舞い降りている。マイケル・フュアリーの埋葬されている侘しい丘上の教会墓地のすみずみにも舞い降りている。歪んだ十字架や墓石の上に、小さな門の槍の上に、実のない茨の上に、ひらひら舞い降ちては厚く積もっている。雪がかすかに音立てて宇宙の彼方から舞い降り、生けるものと死せるものの上にあまねく、そのすべての最期の降下のごとく、かすかに音立てて降り落ちるのを聞きながら、彼の魂はゆっくりと感覚を失っていった。

『ダブリナーズ』ジェイムズ・ジョイス 著、柳瀬尚紀 訳、岩波文庫、p376より引用


それから今日は午後にココアクッキーを焼いた。先月作った時はまだ気温が低かったので生地がなかなか纏まらなくて苦労したのだけれど、反対に今日は室温が20℃あったのでバターがすぐに溶け出して生地がベタつきはじめてしまい、前回とはまた違った苦労があった。まとめた生地は冷蔵庫でしっかり冷やして、時間がきたらサッと切ってパッと焼いた。いい感じにできた。今日はフルーツグラノーラ(無糖)を細かく砕いたものを生地に混ぜ込んだ。サクッとして美味しかった。

白い器に入ったたくさんのココアクッキー。生地に細かく砕いたナッツなどが混ぜ込んである。

執筆はこれからプロットをやる。