初夏の日記8

kenshiro
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公開:2024/5/23

今日は一日曇りだった。さっき少し雨が降ったがすぐに止んだ。

図書館から借りていた本の返却期日が迫っていたので夕方に返しに行った。ついでに借りたい本もリストアップしていったのだが、残念なことに今は休館期間中で図書館は開いておらず、新しく本を借りることはできなかった。

その代わり、自宅のPCで電子図書館のサイトから『西遊記』(http://www.shogakukan.co.jp/digital/09D118150000d0000000)を借りて読み始めた。これがめっぽう面白くて、今夢中になって読んでいる。「小学館世界J文学」という電子書籍から出ている版で、翻訳は武田雅哉、挿絵はトミイマサコ。

話のテンポがすごくいい。だれるところがなくてどんどん進んでいく。話の展開も、生まれたばかりの子を川に流したり(三蔵法師の生い立ち)、仙人からアドバイスをもらいながら人探しの旅をしたり、死んだ人の魂を訪ねて地獄へ降りてみたりと、神話や民話でよく見かける型が使われており、それでいてそれらがバラバラに独立しているのではなく、全ての話が1つの世界の中で繋がっていて大長編になっている。そこがすごい。学生時代に優れたファンタジーの条件は「民話的な要素と神話的な要素をバランスよく兼ね備えていること」と習ったことがあり、この作品はまさしくそうだなと思いながら読んでいる。私にとって『西遊記』は日本の実写化作品などの印象が強く、どれも見たことはないけど何となく退屈なイメージを抱いていてこれまで読んでいなかった。こんなに自由奔放で面白いとは思わなかった。いまちょうどエンターテイメントのお手本になるような作品を探していたところだったので、読むことができて嬉しい。やっぱり古典となっている作品はよくできていて面白いのだなと痛感している。この翻訳の西遊記はこれ一冊だけで紙の本になってはいないそうなので、これを読み終えたら岩波少年文庫版あたりを手に取ってみようかと思う。子供向けは妙訳になっていることが多いけれど、……調べてみたら全訳してある岩波文庫版もあった。これも訳が新しくてよさそう(といっても2005年だが)。西遊記 全十冊 - 岩波書店 (iwanami.co.jp)。——全10冊? 指輪物語より長い!