初夏の日記10

kenshiro
·
公開:2024/5/24

一昨日から『西遊記』にハマっている。この作品はリアリティラインがぐらぐら動いているのに世界が破綻していない印象なのがすごい。何でもありなように見えるのだが、でも勘所みたいなのはあるはずで、それがなんなのか気になっている。何をやって何をやらないのかというラインがどこにあるのか。

今日読んでいて凄いと思ったのは孫悟空が敵との闘いの最中に「……あれ、なんかこいつの顔どこかで見たことあるぞ?」と思った次の瞬間に一旦離脱して筋斗雲に乗って天上に飛んでいき、菩薩に人物名鑑みたいなものを見せてもらい、相手が実は元は天上人だった(お尋ね者的な存在だった)とわかったところで、たくさんの天上人を動かして相手を拘束しにゆくという展開があったこと。他にも冒険に行き詰ったら天上の人に声をかけてアドバイスを訊いたり(いっそ天上の人々が自分たちで旅をしたほうがよくないかと思うのだがそれは野暮だろう)、本当に簡単に天上に行くし、しょっちゅう仲間と喧嘩して、裏切ったり仲間割れして猿山に帰ったりもする。三蔵法師は泣き虫でわがままなところがあって、実は孫悟空のほうが聞き分けがよかったりする。悟空は山で頭を叩かれて耳と穴と目かた血を噴き出したりして(生きてる。とにかく頑丈だから)リアクションが面白い。あとこれは子供向けに書かれている版だから原作がどうなっているのかはわからないのだけれど、舞台設定の説明が簡潔でテンポのいい語りと動きのあるイメージに魅了される。情景描写は少ないけれどなぜか景色が思い浮かぶ(これはなんでだろう。やっぱり要所を捉えているからだろうか)。それから、章の冒頭に「〇〇山に辿り着いた一行。さて、こんな深い山には必ず妖怪がいるものです」といったようなことが書かれていて、その説明が唐突で強引なんだけど潔くて気持ちいい。「あ、いるんだ……」と納得してしまう。今のところは全48章あって27章まで読んだ。ぶっ続けで読んだのでさすがに疲れてきた…。しかし、これまでずっと面白い。これからまた続きを読む。なお、ここ数日執筆は全然捗っていない。