猛烈な暑さの日記1

kenshiro
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公開:2024/7/22
文庫本。『草の竪琴』トルーマン・カポーティ著、大沢薫 訳、新潮文庫

『草の竪琴』トルーマン・カポーティ著/大沢薫訳

両親を亡くし、南部の田舎町に暮らす親戚の姉妹に引き取られた少年コリンは、ある時姉妹の仲に不和が生じたことがきっかけで、姉のドリーと家政婦キャサリンと供に家を出て、森の樹の上にある小屋で過ごすようになる。ある秋の逃避行の話。

空模様の移り変わりなどの自然描写に惹き込まれた。7章立てで6章まではノスタルジックな雰囲気と微かなスリルを漂わせながら話が進み、7章でついにその世界が破綻してゆく。かけがえのない物事が損なわれてゆく様子に心が痛みつつも、ここぞというところで粋な一文を書くカポーティの手腕に唸った。

それから、作中でクセのある登場人物たちが樹上の生活を通して一時は心を通い合わせることができたけれど、その後色々あって最後には互いに距離を置くようになってしまうという人間関係の在り方も、悲しいけれどそういうことはあってそこが美しくもあるよなと思った。

結末で墓地のある丘から草原を見渡すイメージも印象に残った。ここはブロンテ『嵐が丘』の結末で同じく墓地を訪れた時のイメージを受け継いでいるのかもとしれないと思ったけれど、読み返してみたところ『嵐が丘』の墓参りは日中ではなく月夜だった。草原に吹く風の音に耳を澄ますという点は同じだったので、当たらずとも遠からずといったところだろうか。どちらの終わり方も好き。

『草の竪琴』とても良い作品でした。9月の涼しい風景の描写で終わるので夏休みの読書に良いんじゃないかと思いました。

好きな一文。 p.102

「——でもきれいなシャツを着ていなかなければだめよ。そのシャツの衿には蕪が植えられますよ」


日曜日は夕方から街のスタンディングに参加してきた。スタンディングの前に近くの橙書店に寄って本の受け取りを済ませて一服してから、スタンディングに向かった。物凄く日差しが強くて、一度はいつも立っている商業施設側の交差点に立ったのだけど、日傘でカバーできない足元が暑くなってとても耐えらなかったので日陰に引っ込んだ。それはそうと、街についてすぐ書店に行く前にどこかで帽子を落としてしまったのがショックでした。探すのは諦めました。帰りは夕暮れ時を汗だくになりながら6キロ歩いて帰った。途中で量販店に立ち寄ってスポーツドリンクを買って飲みながら歩いた。

プラカードが2枚。上がFREEGAZA、下がパレスチナについて知ることのできるチラシを挟んだもの。

ちょっと気が重くなるようなことがあって、厳密にはこれから起こることなのだが、そのことでげんなりしている。取り乱すことなく正気を保ちたいので、なるべく書くことに意識を向けて(今書いているものと、BFC6に出す作品も書きたい)、できれば、可能な限り、つつがなく過ごしてゆきたい。

今日は5枚書いて合計が70頁になった。あとBFC6に出す作品のプロットを書いた。もう一作必要なのでそちらも用意したい。また明日。