「他者との体験の共有」は、現在の技術では基本的に視聴覚を介するものに限られる。
本書は、あるものごとを体験するときに体内、脳内で起きていることをデータログに変換し、それを共有・追体験する技術、Body Sharingの研究について書かれている。
Body Sharingにより自分の中に取り込むことができる他者の体験は、人間に限らず、動物のものもあり得るかもしれない(身体の構造が違いすぎるので難易度は高い)という示唆があった。
この部分を読んで、私は自分が「木になりたい」と思っていた時期があったことを思い出した。
その頃は、人間の感覚や思考を離れて、木としてずっとそこに存在し、日に当たったり雨に打たれたり風に吹かれるのはどんな感じがするのだろうか、と想像していた。
いつの間にかそんな願望があったことすら忘れていたが、もしかしたら人間を休んで「木」を体験できる未来もあるのかもしれない。石とかもいいな。