北欧って、税金が高い分福祉が充実しているし、日本と比べジェンダーギャップがないと言われている。きっととても暮らしやすいんだろうな、と漠然としたイメージを抱いていた。
のだけれど、本書を読んでそんなイメージは完全に打ち砕かれた。
「世界一男女平等の国」でこれなんだから、世界ヤバ…という感想が漏れ出た。
「女性も男性と同じように賃労働をする権利」が保証された。
日本のインターネットでも度々論じられているのを見るが、今の社会での賃労働者の生活というのは、ケア労働をする人間がついている前提で成り立っている面がある。
みんなが賃労働をする権利を保障され、実際に働きに出るようになっても、ケア労働のニーズはなくならない。
じゃあ誰がケア労働をするんだ?という問題がついて回る。
ノルウェーでも、女性がめっちゃ無理してケア労働を多めに負担するか、外国人労働者を安く使うか、という状況のようで、あれ、すごい既視感…これは今の日本でも散々言われてるよね…?となった。
この本が本国で出されたのは2013年、もう11年前なので、今のノルウェーの状況はまた少し違うのかもしれないけど。
ジェンダーギャップがやばいやばいと言われている今の日本と、世界一男女平等だと言われているノルウェーでこんなに問題が重なることってあるんだ、「世界一男女平等」が謳われているもとでそんな状況っていうのはさぞ辛かろうて、、、、と思いながら読み進めた。
本書では最終的に「基準とされる労働時間が長すぎるのがよくない」「1日6時間労働、週30時間労働をスタンダードにするのがいい」という話をしている。
いや、本当にそう。心からそう思う。世界的にそうなってほしいと思う。
わたしは今、諸事情により、それくらいの稼働時間で生活している。不自由はなく、8時間基準フルタイム+残業で働いていた時より格段に心身の余裕があると感じる。
でもどこかで8時間フルで働いていないことに少なからず負い目も感じているし、バリバリ働いて仕事で結果を出している人間が眩しい。出世的なものはもう無理だろうと踏んでいる。
8時間労働をなんとかこなしている人から見れば、相当に贅沢な悩みだとは思う。
そしてその贅沢な悩みによる軋轢が生じるのを避けたいので、あまり人には自分の稼働時間の話はしない。今ここでインターネット上に書いてしまったので無意味だけど。
6時間労働が当たり前になればそんな負い目も軋轢もなくなる、といった利己的な希望もある。
どうすれば世界的に6時間労働が実現できるかな〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!
あと、めちゃくちゃ些末なことではあるんだけど、フェミニズムやジェンダーの話を取り扱っている本なのに作者あとがきの翻訳がバリッバリの女言葉だったのが気になってしまった。そういう感じの文章だったのだろうか。