初めて感想レターをもらった。こんな片隅も片隅な場所で書いている散文を読んでくれる人がいるのだとちょっとびっくりした。ボトルメールは誰かに届くこともあるのだな。ありがとうございます。
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劇場版ハイキューを見てきた。あまりにまぶしくて消し炭になるかと思った。
原作を追い切れていない、作品に対してとても不真面目な向き合い方をしている人間だけど、それ故に映画であの試合の決着を初めて見ることになった。あっという間に流れて消えて終わっていく時間。その裏に積み重なっている時間が一点に集約する。でも結果がどうあれ、世界は何も変わらないし、勝っても負けても人生は何事もなかったかのように続いていく。ただその時にしかないきらめくものが確かにそこにある。
しかし、またとない、そうそうお目にかかれない、そういう決着だった。
外側から見ていれば無情とも思える決着だけれど、これ以外ない、これ以上ない、という決着でもあった。すごい。私のように映画で初めて決着を見るという人もいるかもしれないので、ぼやけた書き方しかできないのだが、こんな決着のさせ方を「選んだ」んだ、「選べる」んだということに震えた。この幕引きこそふさわしい、という作者の意思を感じたからだ。私ならきっとこんなストーリーにはできない。でもこの決着だったからこそ、私はずっとこの試合を忘れないだろうと思う。
なんでもない、あっという間の、世界には何の影響もない時間。なんて美しくて絶対的な時間。この感覚を表す語彙を私は持てないままでいる。しいて言うなら「青春」なのだろうか。ただなかにいるときにはわからない。いつだって「あれは青春だった」と思うのは過ぎ去った後になってからだ。あの世界で生き続けていく少年たちも、いつか「あれは青春だった」と思い返すのかもしれない。今の私のように。