最近ずっとFate/Samurai Remnantをプレイしている。
8月に半額になっていることに気づいて、ずっと気になっていたので購入した。同じタイミングで別に2本ゲームを購入していたので完全に勢いあまっての購入だったのだが、軽い気持ちで始めたらボリュームも中身もとんでもなくてひと月以上殴られ続けている。これは勘だが、多分今年いっぱいはこの調子で遊べると思う。周回前提・マルチエンド方式のゲームを舐めていた。
もちろん、マルチエンドをすべて回収するつもりがなければ、もっとライトになるのだが、私自身が「しないと気が済まない」状態になっている。
Fateはそこまでがっつり触ってきたコンテンツではない。FGOを休み休みプレイしているので、基本世界観やシステムは理解しているが、逆に言えばその程度の知識しかない。
だがサムライレムナントはそれでも十分に楽しめているし、これくらいの知識のほうがいいのかもしれないとも思う。もちろん、知っていることが増えれば世界のレイヤーが増えるので、感じ方も変わるのだろうけど。
さすが……というか、キャラクターが皆魅力的で、人物造詣に深みがある。なんというか、Fateの関連作品皆そうなのだが「私には思いもよらない」思考回路を有しているキャラクターがとても多い。けれどそれは不快ではなく、もっと深くあなたの考えていることを知りたい、と思わせてくれる良い塩梅だと思う。私の性に合っているというのもあるかもしれない。
わからないキャラクターたちの中で、誰より一番わからないのが、主人公である宮本伊織その人の思考だ。1周目、最初から最後まで一緒にいたはずなのに、物語が決着しても本心がわからなかった。人外で伊織のサーヴァントであるセイバーの思考のほうがまだ理解できる。時折『上に立つもの』として私との思考の乖離を感じるが、セイバー自身の性質はとても素直だからだ。古代の皇子の思考より、一浪人の思考のほうがわからんのである。
伊織の言うこと、行動は本心からのものではあるのだろうと思う。ただ、本質かというとそうではない、という気がしてならない。まさかその片鱗だけ見せて1周目が終わると思わなかった。2周目以降で本質に触れられるかも今のところ定かではないのだが、嫌な予感だけがずっとしている。普通、こういう周回前提の物語って、1周目がすっきりしない、あるいはバッドエンドだったものを、周回することで「ハッピーエンド」にもっていく物語が多いのでは、という気がするのだが、周回するほど「嫌な予感がする」という作品に初めて出会った。
なにも、伊織の本性が悪鬼外道の類なのでは、と思っているわけではない。ただ、彼が彼自身も見ないようにしている(ような気がする)本質に向き合ったときに、なにか「よくないこと」が起こるような気がしてならないのだ。彼のことを慕ってくれている人たち(それは画面の前の私も含めて)が悲しむような何かが。
多分、ことが一番「美しく、理想的に」納まったのが1周目だった、という気がしてならない。杞憂ならいいと思いながら2周目を進んでいる。
そもそもハッピーエンドとはなんなのだろう。何をもってして、ハッピーエンドなのだろう。
私は、登場人物が「幸せ」だと思っているのなら、事態が解決していない、あるいは悪化していても「ハッピーエンド」だと思う派なのだけど、それは個々人においてというより「主人公と大切な人が」という前提である。
最小単位でどちらか片方がその結末を望んでいないのならそれは私の中の定義において「ハッピーエンド」ではない。私が求めているのがどこまでも「君と僕」の物語だからだ。なので「君と僕」両方が満たされていなければ幸せな結末足りえない。
ただ、この物語がそこにたどり着けるかと言われると…………ちょっとだいぶかなり不安だ。
伊織が本当に心から求めているものは一般的な「幸せ」の道からは外れることなのだろうと思う。そしてそれを本人も自覚している。なので「周囲の人間を悲しませないように」人の姿を保とうとしている気がしている。
道徳、倫理、人の道、意識しなければ踏み外すことをどこかでわかっている。だから己に言い聞かせるのだ「これは良いこと」「これは良くないこと」と。
彼は優しく、穏やかで、理知的で誠実な人だ。けれど同時に、己の手綱を己で思い切り引き絞っているようにも見える。もういいや、とそれを手放してしまったときに何が起こるんだろうという漠然とした不安が常に私の傍らにある。
杞憂であればいいと思うのだ本当に。考えすぎだったねと笑えればそれが一番いい。
Fate/Samurai Remnantはとても面白い。けれど気が付けば前も後ろも針の筵になっていて、這って進むたびに私はうめき声をあげる羽目になっている。先の見えない不安と、拭いきれない悲しい予感は恐ろしいけれど、ここで止まって『結末』がわからないのも嫌だ。どうしてこんな苦行に手を出してしまったのかとたまに本気で思う。いや、本当に面白いのだけど。
いくつもの果てを見届けるつもりでいる。幸せになってほしいと思う。心から。伊織くんも、セイバーも。けれど今の時点で、私にはその幸せの形がうまく思い描けないでいる。