アングラ水餃子を6kg買って食べている

kijihajime
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2023年8月のログ。2024年2月現在も食べている。

というか、冷凍生水餃子作るメーカーが増えてて、そちらも成分表がアレルギー表示無かった(買った)

某所にある中華系食材店で一年以上前から気になっていた、国内で中国系の方が作ったであろう「生」水餃子。

「生」の迫力

見た目もさる事ながら、ラインナップもガチだ。酸菜(酸っぱい白菜の漬物で、白菜版ザウアークラウトのようなもの)と豚肉の水餃子、豚肉とセロリの水餃子、羊肉の水餃子、ピーマンの水餃子、牛肉の水餃子などなど。あちらではノーマルでも、日本では水餃子に力入れてやってる店に行かないと食べられないのではないだろうか。もちろんノーマルな豚肉と白菜や豚肉と韮の水餃子なんかもある。これらを前に長らく躊躇っていたが、ついに買ってしまった。一目でわかる「生」の水餃子の皮に抗えなかった。

なぜ即買いしなかったのか

買うのを躊躇っていた理由はいくつかある。元々こういった仕事をしていたため、輸入品の品質と原価を知っている。この水餃子は国内製造にも関わらず値段がめちゃくちゃ安い。1kgで800〜900円くらいで、業務スーパーで売っている輸入品の冷凍水餃子と同じくらいの価格設定だ。この価格帯から、入手できる限り最安の材料で作っているのと、人件費をかなり抑えているのが見てとれる。肉はまず間違いなく輸入肉だろう。野菜は国産、輸入こだわらず、入手出来る最安値のものを使っているのではないか。とはいえ中国の物価はかなり高くなっており、日本の物価は長いこと上がらず苦しんでいる現況なので、中国国内の高品質な材料 VS 日本国内の最安値の材料だと、あり得る話かもしれない。

さて、成分表を見てみよう。

シンプル過ぎる成分表

まず、ヤバいことに使用している全部の材料を書いてない。皮の材料の小麦が載っていないし、アレルギー表記も無い。大概の水餃子には醤油、塩、砂糖、ごま油や何らかの油脂、ポークやチキンのエキスや化学調味料なんかが入っているものだが、勝手に省略している。調味料、で全てを括るな……!!!ちなみに実際にこの羊肉の水餃子を食べたところ、後に出てくるが表記には無いニンジンが入っていた。(羊肉の水餃子はニンジンが入っている事が多いので水餃子としては妥当ではある。成分表を見て、ニンジン無しの羊肉の餃子…?と疑問に思ったくらいだ)というか、成分表記がビニール袋にホチ止めって、だめだろう。密封すらままなっていない。そもそも包装がペラペラのビニール袋で、冷凍食品用の袋としては薄すぎる。冷凍食品の包装に使うなら、厚めのビニール袋かアルミの袋を使う方がいい。そして画像には載せていないが製造者・販売者の名前と電話のみで住所の記載が無い。

見た目からして買う奴しか買わんやろオーラが漂っているので、多分今まで問題が発生していないのだろう。

しかし包装と成分表だけで突っ込みどころが多すぎる。そして突っ込んでいるうちにぼんやりとだが製造の現場もつい想像してしまう。営業許可申請時に設備等の図面を提出しなければならないので、製造設備自体は整っているのかもしれない。そもそも成分表に住所が載っていないが、さすがに食品製造の営業許可、取ってるよね?取ってると信じて妄想を続けます。しかし衛生管理的にはどうだろうか。輸入食品は毎度抜き取りで動物検査があるが、国内製造・流通の品にはそんな制度は無い。大企業でもなく、輸出等で何らかの問題が発生したら輸出できなくなる等のペナルティも無いだろうし……。そういう抑止力の無い環境下で作られた食品……。店頭でこの水餃子を見る度に上記の様々な理由が去来し、買う決意が固められなかった。が、結局抗えずに買ってしまった。いいんだ、国内の野菜の安全性と輸入食品の検査体制を信じるから。(十字を切りながら)

実食

羊肉水餃子

ゆで上がると白っぽいつるんとした皮になった。これは皮が薄力粉のみで作られているか、薄力粉がほとんどを占めているようだ。強力粉が多いと皮は黄色っぽくなる。個人的に強力粉の多い固めの皮が好きなのだが、価格的にメリットは無いだろう。弾力が強過ぎて収縮するので機械等で扱いにくいのかもしれない。どうしても食べたいなら自分で作るしか無いだろう。しかし面倒くさすぎて絶対嫌だ。あと、弾力が強いので作っている最中に手首を痛める。よく言われる、水餃子の皮がもちもちというキャッチコピーそのままの水餃子を味わいたいなら強力粉入りの皮を食べてみて欲しいが、恐らくまずお目に掛かれない。というか、もちもちした皮の水餃子は日本人向けのアピールだと思われる。中国人は多分そんなに気にしていない部分だろう。となると、ますます自作しか道は無いのかもしれない。もし水餃子を自作してみようと思われるなら、ウー・ウェンさんの本をおすすめする。大概の図書館にはレシピ本があるだろう。

割ってみると、具はこんな感じ。

赤く丸をつけたところに、わかりにくいがニンジンが入っている。

実際に食べてみると、具材を節約した質素な水餃子だ。野菜が少ない・安い肉を使っているせいだろう。おそらく手に入る限り最も安い材料を使っているはずだ。日本の野菜は値段が高く、肉に迫る価格設定なのもあり、あまり使いたくないだろう。とにかく、食べてて少し貧しい気持ちになる。この感覚をどう説明したものか。

強いて言えば普段コンビニやおにぎり専門店のおにぎりを食べている人が、家で適当な材料で適当に握ったおにぎりを食べる感じに近いかもしれない。海苔の香りが足りないし、ご飯はいつものご飯だ。甘みがあるわけでも炊き具合が絶妙なわけでもない。ものすごく美味しいわけではないが、普段のご飯として食べられる。もちろん、外国のスーパーのカピカピで高いかっぱ巻きより断然美味しい。そんなおにぎりだ。うどんチェーンで例えるなら、材料をスーパー等で揃えた手作りの水餃子がはなまる、アングラ水餃子が丸亀、かもしれない。(感じ方には個人差が大いにあります)

もちろん、水餃子をあまり食べた事のない方には美味しいと思う。ちなみにここの羊肉の餃子は一口食べて、ウワ!と思うくらいに羊のフレーバーが香るので、羊肉が苦手な方はやめておこう。私は好きなので無問題(モウマンタイ)です。更に余談だが無問題という言葉は香港ムービーなどでお馴染みの広東語だ。標準語とされている北京語だと同じ意味の言葉でも没問題(メイウェンティー)となる。

ところで餃子は肉汁を逃さないための料理なので、一口で食べ切ることを強く推奨します。こんな風に割って食べると味も風味も薄れてしまいます……。熱すぎる場合はひたすら待つか、茹で上がった後に皮を傷つけない程度の流水で表面を流しましょう。(あんまり水に晒し過ぎるとわずかながら風味が逃げていって良くないんですけどね)

輸入冷凍水餃子の話

冷凍の水餃子というと、業務スーパーでも中華街でもどこでも、同じメーカーのものが売っている。もうここ10年近くその輸入メーカー一強なのだが、そこの物なら味も品質もしっかりしていると思う。ぶっちゃけ、安めの中華料理店や中華バイキングならこれらの製品を使用している可能性が高い。

実は昔このメーカーと契約している工場に行った事があるのだが、本当に衛生面で厳しく、材料の質にもこだわっていた。輸出食品の工場だったため、もし中国産の肉を使って問題が出ると輸出停止になってしまうからと、カナダから豚肉を輸入していたくらいだ。また、野菜も農薬の使用量などを輸出先の基準に合わせて作っているものを使用している。ここだけではなく、ある程度の規模の輸出食品製造工場はそうしているところが多い。

少し古いが、あちらの工場の実態は下記のリンクを見れば良いと思う。本当に大規模で徹底されている。

ジャンキーからの忠告

こんな日記を書いていて何だが、アングラ水餃子よりも輸入品の冷凍水餃子を買った方が良いと思う。輸出前にきちんと加熱しているので衛生的だし、味や風味は生には及ばないが、その分スープや鍋の具として使い勝手がとてもいい。冷凍庫に一袋あると安心できる。というか、成分表記に問題あるってヤバいよね、普通に考えて。まず試しにアングラ水餃子を一袋買い、その翌日に6kg買いに走った人間からの忠告だ。

おわり