新大久保に犬肉の鍋と蛍光掲示板を出している料理店があると人に言うと驚かれるので、先日行った際に写真に収めてきた。
狗肉鍋がそれだ。延吉香という店の料理のようだ。
延吉というと、中国東北部の吉林省の延辺朝鮮族自治州の都市で、中国人ならこの地名を聞くと朝鮮族(北朝鮮、韓国と祖を同じくする、代々中国国内に住んでいる人々。言語も朝鮮語を使うが、北朝鮮とも韓国とも違うイントネーションだそう)を思い起こすだろう。そして犬肉は朝鮮族の名物という認識がある。かつて住んでいた北京には朝鮮族のレストランがそこそこあり、狗肉の看板が出ていた。
この文字列を見て犬肉料理だと認識出来るようになると、韓国料理の店がこれだけあるのだから、ハングルで狗肉と看板を出している韓国料理店もあるかもしれないと思うようになる。そういった知識がいくつも増えると東京の街のレイヤーが一枚多く感じ取れるようになる。
単純に海外の知識だけでなく、業界的な知識があればまた違う見え方がしてくるだろう。日暮里や御徒町の辺りなんて、知識があったらもっと楽しいに違いない。東京って歩いていて情報量が多くて面白いなと思う。
ぼんやりした解像度で海外へ行くのも面白いけど、既に知っていることを実地で確かめたり、自分の知識の周辺視野みたいなもののディテールが掘り下げられていくのもまた楽しい。年を取るってこういう事なのかもしれない。単に、嗜好の変化なのかもしれないけど。