江國香織のエッセイ「やわらかなレタス」を読んだ。3ヶ月、いや、それ以上ぶりの読書。かなり勇気を出して、エイヤッ(これは作中より引用)と飛び込んだ。
私は普段、作者よりもあらすじ(背表紙にある美味しい文章)で本を買うけれど、江國香織だけは違う。江國の言葉からなる世界に完全に惚れ込んでいて、一丁前に共感までしている。おそらく一番好きな作家。
読んでいて、あまりにも陳腐な感想で情けないけれど、求めている生活ってこれだよなぁ、と思うのだ。
忙しければ忙しいほど置き去りにしてしまう些細な幸せや発見を掬いとって大切に言葉にしている、温かみ満ちた江國の文章に、3ヶ月、いやそれ以上ぶりに、ただただ安心した。
灯油ストーブの上に灰皿を置いて、ストーブの目の前に体育座りをして、コーヒーを飲み煙草を吸いながら江國香織を読む。外は近頃では珍しいほどの強風。なんだか心身共に安全だな、と感じた。
忙しくて忙しくて目も眩むような毎日だけれど、たまにはこんなふうに「生活」を実感したい。