歩く

kotori
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ずっと前からとても好きな公園がある。

今日、整体の後でそこを1時間ほど歩いた。

身体の調子がいまひとつだったので、ショートコースを選んで歩いた。

街中にあるそこだけが独立共和国のような公園だ。大きな芝生広場に生える高い尖った樹をみるたびに遠い北の大地を想う。曲がりくねった小道から林立する樹木の写真をスマホで撮った。「北海道へ行ってきました」そんな嘘をSNSに上げる妄想をした。

強い風が木々を揺らす。かさかさかさと忙しない音と共に大きく枝が揺れ、無数の葉っぱが飛んでいってしまった。足元の枯れ葉を踏むと、古い紙のように小気味よく粉々になった。鳥が鳴いていた。

池は緑色に澱んで見えた。濃いエメラルドグリーン。もしくは濃い苔の色。地域猫が昼寝していないかと探したが一匹も見当たらなかった。みんなどこか温かい場所へ行ってしまったのだろうか。

もっと元気だったら、もう少し長く歩きたかったのに。

熱いコーヒーでも飲んで帰るのかなと思っていたのに、夫はそのまま車を家まで走らせてしまった。

@kina
願うのは静かな暮らし