「あれ?」
歩いているとき、部屋でふと、なつかしいというか、なにか思い出しそうというか、切ないというか、言葉ではちゃんと捉えられない「なにかのにおい」を感じること、あるよね。
あれって、本当にそこににおいは存在するんだろうか?
脳のなかで、伝達エラーかなにかが起きて、そこにはない何かを感じた気がしてるだけなんじゃないだろうか。
誤作動。
ただ歩いてるとき、ただ運転してるとき、なんでもないのに、ぎゅっと胸が詰まって、涙が出てくることもある。
あれはまぁ、完全に誤作動。
そういうときは、たいてい、何も考えていない。
でも、においも涙も、身体で感じている感覚としては、そこにある。
それが、誤作動だったとしても、今はもう、自分では取り出さないもの、いつかの自分にとって大事だったもの、そんなものに、一瞬、つながりかけてる瞬間なんだろうな。