｢この水槽の中で寂しい思いをしないように、辛い思いをしないように、私が守ってあげる。焦らなくたっていいんだよ。 あんたのペースでいい。いつか自分で旅立てると思えるその日まで、私の中にいたらいいんだよ」｢この水槽の向こうにはもっとたくさんの水槽があるんだよね。 水槽どころか、地も川も、海だってある。いちいち怖がってたら、 生きていけない。あたしたちはこの広い世界を泳がなきゃいけない」｢生きるとか生きていけないとか、大人でも考えて苦しむものなんだ。だったら俺や晴子が苦しいと思うのは当たり前なんだ。 大人が苦しみながら泳いでいるのだとしたら、それは厳しい現実だと思うけど、でもそういうものであるなら、仕方ないよな。これからももがきながら泳いでいくしかない。｣繰り返し、繰り返し読む。泳ぐ。自分の人生を。この世界を。