長女が帰宅早々、美術のテストで減点されたという話をした。四角形の中の区切られた枠の中を3色以上で塗りなさいという問題で、長女は区切られた枠を更に自分で区切って多くの色で塗ったら減点だったと。
問題のどこにも枠をそれ以上増やしてはいけないとは書いていない。色も3色以上だ。納得がいかないと。
「確かに!お母さんはそんなこと思いつかないわ。お母さんなら丸をあげるけどな。定められた枠のなかで人の思いつかないものを描く。すごいじゃん。それこそ芸術じゃないか!」
長女は小学生の時の図工でも、入っている材料を全部使いなさいとか、ここは青で塗ってとか色々言われたことがある。絵を描くことも図工も大好きな子がそこで図工が一時期苦手になった。
その時も同じような話をした。
納得いかないなら先生に言ってごらんと送り出した今朝、車のラジオから壁に貼り付けたバナナが9.6億円で落札されたと流れてきた。
芸術ってなんだ。
私はバナナより長女の四角が好きだ。
同じ事を無名の人間がやって同じくらい評価されるかといったら、そんなことはないのは世の常ではあるとは思う。
「なに」を作ったか、「なに」を話したのかではなく、「誰」が作ったか、「誰」が語った話なのか。
影響力ってそういうこと。
評価されるってそういうこと。
それを問いかけるバナナなのかもしれない。