すけべがすきじゃなさそうですねと言われる話

kirina
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すけべがすきじゃなさそうですねと言われる。ふだん下ネタをあんまり言わないのと、好んで読み書きする文章がひらがな多めで部屋にかすみ草でも飾っていそうな雰囲気を出しているからだと思う。これはもちろんわざとやっている。中学生の時は全部の語尾に/(^o^)\とか(ヲイ とかちゃんとつけていた。

十八歳真っ盛りの私はむしろエロとウェイの権化みたいな同人活動をしていた。男装コスプレでラブホで絡み合ったこともあるし、カラオケでパンチラオブジョイトイを立派に歌い上げていた。その時分から私を知っている数少ない友達は「何をかすみ草ぶっとんねん」と思っているはずだ。

コスプレイヤー時代もコピー本を趣味で出していたが普通に性癖に忠実なエロ本を書いていた。攻めのちんこ(擬人化)×受けのちんこ(擬人化)というたまにしかまみえないちんこ同士の切なめな話や、体毛を愛でるアンソロジー(一人)などがウケた覚えがある。一番同人が楽しかった時期だ。

字書きとして印刷した同人誌を出し始めた頃、小説として印刷するなら商業本で好きな感じの文体がいいなあと思った。今まで一人称か三人称かくらいしか意識してなかったが台詞と地の文のバランスや漢字の開き、リズム、文字量や読みごたえのあるボリュームなどを気にし始めた。

私の好きな作家は江國香織さんと寺地はるなさんである。江國さんの色気と、寺地さんの心地良いリズムが共存できたら最高だと思っている。そこではたと気づくのだが、えろが似合わない。

「抜けないとえろじゃない」とまで豪語していたのに、二人の文章では恍惚とはしても抜けやしない。持論だが、抜くにはある程度の下品さが必要不可欠である。ペニスとアヌスの優雅なまぐわいではなく、ちんことけつまんこでぐっぽりいく必要がある。これには困った。身体はゆらゆらとシルエットで焦れるように揺れるのではなく、じゅぽんぢゅぽんと体液を垂らしながらガン突きでベッドをギシギシ言わすのだ。どうしたものか。

アマゾンの奥地へと旅立ったまま何冊かの本を出したが、この答えは未だに出ていない。好きな文体でストーリーに振るとエロが蛇足に見えてしまう。エロに振ると地の文が書き足りなくなってしまう。今のところ、導入はシンプルに、絶頂までにポイントで下品に寄せていくという書き方を試している。できているかは知らないのでとらのあなで売れ残っている本で確かめてほしい(突然の宣伝)

何の話をしていたか。

そうそう、すけべが好きそうじゃないと言われる話である。単刀直入に、すけべは大好きである。すけべを書くために小説を書いている。しかしそこに文体や書きたい話を合わせるとミスマッチなだけである。

黒歴史を晒しながらすけべが好きだという証拠をたくさん出せた気がするが、今日も私は男性向けで女を喘がせ、女性向けで男を喘がせ、おちんちんとおまんことたまにおしりのおかげでお金を手にしているのである。すけべが好きな理由はそれで充分だろう。

かすみ草の花言葉に「無邪気」「清らかな心」とあるが私はまさに無邪気に清らかに、すけべが好きなのである。

@kirina
すけべがとくにすきな物書き