Prime Video ドラマを観た。原作も知らず前知識も無く観たのでした。陪審員に選ばれる途中までいったのでその場面もかなりリアルでした。
『坂の途中の家』は、角田光代の小説。『週刊朝日』2011年12月23日号から2013年1月4日・11日合併号まで連載され、2016年1月7日に朝日新聞出版から刊行された。裁判員制度を題材に、補充裁判員に選出され30代母親による乳児虐待死事件を担当することとなった2歳の女児を持つ専業主婦の心理を描いたサスペンス。
子どもを虐待死させた母親を取り巻く裁判に関わる人々が様々な立場の人の考え方や捉え方を丁寧に描写していた。ゆっくりと一人ひとりの登場人物に向き合うように見せている。疑問が湧き回避する方法を考えながら観ていると一緒に何処にも行き場がなくなっていることに気づく。考えうるあらゆる世間の声が周囲の人々から発せられる。
主人公は被告の立場と感情に重ねていく。途中から被告側の場面だと思ってたのに、コペルニクス的転回のような変化に驚きギョッとした。
同じ言葉でも別の意味となって相手を傷つけ無意識に決めつけていた考えが相手を追いつめていく。親子と夫婦、その両親たちの在り方。考えさせられる視点がこの裁判に関わる登場人物から見えてくる。近い距離感の存在だと励ますつもりで不用意に傷つけてしまう場合など丁寧に見せられて心が抉られる。一つひとつの場面に入り込まないと次に行けない。
知り合いに自分の子どもを赤ちゃんの時に殺してしまったという女性と結婚した人を思い出した。彼は物事を深く考え優しく包容力のある人だった。そうした人と結婚したと友人から教えられた後会うこともなかったけどどうか彼女と幸せであってと願わずにいられない。
老若男女全ての人にお勧めするドラマだけど、心身共に余裕のある状態で観ないと辛いかもしれない。