マグリットの山高帽を被った絵を見ていて、私は子どもの頃に見ていた夢を思い出した。
こんな格好でもっとスリムでスーツ姿のイギリス人みたいな感じ。同じ背丈の2人組から追いかけられるのを何度も見てうなされた。
個性の無い何を考えてるかわからないポーカーフェイスの表情の無い顔。目が合うことは無かったのにわたしの気配を探っているようだった。
2人はゆっくり歩いてこちらに追いついてくる。だんだん距離が近づいてくる。私は急いで近くの家の外にあるゴミ箱の影（咄嗟に隠れたら身体がゴミ箱からはみ出てこれは見つかると思ってる）や建物の隙間に入り込んでやり過ごそうとしていた。もう少しで見つけられそうになった瞬間目が覚めた。夢の中ではずっと怖かった。
いつも同じようなシチュエーション。
まさかマグリットの絵をどこかで見て夢に見ていたんだろうか、そんなことこれまで考えもしなかった。まさか…。
この２人組についてはなにかの映画かテレビで見た印象なんだろうと思ってたけどまさか…。6才のころの多分数ヶ月間だけ父とふたり暮らしの時、父はよく私と映画館に行きいろんな映画を観ていた。よくわからない英語ばかりのサスペンスみたいなものも観ていたのでそこら辺かなと考えてたけどまさか…もしかしてまさか。
