推しはいるけれど、推しのアクスタやぬいを持ち歩いて食べものや景色と一緒に撮影するのは、いままでしたことがなかった。わたしは、出先だと自分が忘れものをしていないか何度も確認しないと不安になってしまう性質で、スマホやお財布や日傘だけでいっぱいっぱいなのに、そこにさらに大切なぬいぐるみも加わるとなると、電車やお店で席を立つとき、いつまでもそこに自分のものが残っていないか確認してしまいそうな気がしていたから。でも、プリンタニア・ニッポンのすあまとミッフィーちゃんと一緒におでかけや出勤をしていらっしゃるフォロワーさんの投稿を見ているうち、わたしも写真をとってみたいな……という気持ちが育ちはじめて、このあいだとうとう、推しのぬいぐるみと写真を撮った。
そのぬいぐるみは、アニメイトの棚にひとりだけぽつんとかかっていたわたしの推しで、呪術廻戦の脹相さんという名前。作品やキャラクターを知らなくても、「どけ、俺はお兄ちゃんだぞ!」というせりふなら聞いたことのあるかたはいらっしゃるんじゃないかしら。かくいうわたしも、原作のお兄ちゃん(脹相さんの愛称)のふきだしにこのせりふを発見したとき、あなたがおうわさはかねがねのお兄ちゃん! とうれしくなった。そんなふうにわたしはお兄ちゃんと出会い、物語を読むにつれ、呪術廻戦のいちばんの推しはお兄ちゃんになった。そんな推しが、擬猫化(?)されたぬいぐるみを見つけてしまったのだから、それはもう財布のひももゆるむというもの。さっそくわたしはお兄ちゃんのぬいをお迎えし、その帰り道で、お兄ちゃんに外の景色を見せた。そしてそれを写真に撮った。それだけでお兄ちゃんのぬいぐるみに一気に愛着がわき、もっといろんなものをこの子に見せてあげたいなあと思うようになったのだ。なのでつぎの日はお兄ちゃんと一緒に出勤して、途中で寄った喫茶店では、モーニングの小倉トーストを見せたりした。
きょうは寝坊したのでお兄ちゃんを部屋に置いてきてしまったけれど、かばんのなかにだいすきなぬいぐるみがいると思うとそれだけで気分があかるくなるので、お兄ちゃんのぬいはもちろん、これからは部屋で長らくお留守番をしていたいろんな子たちを連れ出そうと思う。