2024.4.14

温水ふみ
·

部屋でいちばん高い本棚から、こねこが落ちた。さいきん登ることができるようになったそこは、こねこのお気に入りの場所で、そこで毛づくろいをしたり天井のにおいを嗅いだりするのがこねこの日課になっていたようなのだけど、そのいつもの動作をするどこかのタイミングで、足を滑らせて落ちてしまったようなのだ。さいわいなことに、からだが本棚と壁のすきまに挟まっていたので床に落ちることはなく、怪我もひとつもなかったのだけど。もし受身をとることもできず、叩きつけられてしまっていたらとぞっとして、人間の手が入るか入らないかくらいのわずかなすきまでも、油断して見逃したことをとても反省して食いた。本棚は壁にできるだけくっつけたので、もうこねこが落ちるような隙間はない。日に日に出来ることが増えるこねこだから、きのうまで大丈夫だった場所もきょうは大丈夫ではないかもしれないことを、わたしは甘く見ていたらしい。

落ちたストレスで血便になってしまうかと思ったこねこは、でも、そんなことはなくごはんももりもりと食べている。ほんとうになにごともなくてよかった。こねこ、きみのゆきたい場所が危なくないよう、にんげんはお部屋をもっと変えてゆくね。

@kissa_ja_mekko
なにかしらを書いています。lit.link/moikissa