私は「病的」と形容しても差し支えないほどの甘党だ。チョコや砂糖菓子は1kg以内であれば休憩を挟む事なく延々と食べ続けられるし、一人暮らしをしていた頃は業務スーパーに冷凍で売られているホイップクリームを自然解凍させたのち一気飲みして空腹を満たしていた。ヌテラやジャムの瓶にカレースプーンを突っ込んでそのまま食べるのも大好きだ。さながら汚いプーさんである。(ジャムでの糖分補給はあとで家族に大目玉を食らう羽目になるが)とにかく甘いものならなんでも好きだ。
飽くなき探究心で糖分を探し、まるで摂食障害などの精神疾患を疑われる食べ方をしている。実際過去に拒食症を経験して35kgまで体重が落ち込んだ時期があったが、その時ですらホイップ直飲み10秒チャージを怠らなかったので私の砂糖中毒は恐らく生まれついての筋金入りだと思う。あの頃の主たる栄養源はすべて業務スーパーのホイップで、半即身仏状態だった私は糖と乳脂肪に生かされていた。毎日死ぬ思いで生きていた私はその後、いつの間にか拒食症が寛解し、なんとか大学を卒業したのちはあれよあれよと田舎へ舞い戻り、なんやかんやで親に雇われ実家に居候させていただく事となった。というか、終わりの見えない就活で憔悴しきっていた2022年当時の私は、気付いたら親の会社の労働契約書に判をついていた。
閑話休題。本題に移ろう。
私の好物に「清浄歓喜団」という菓子がある。いかがわしい宗教団体ではなく、菓子である。詳しくは各自でググっていただきたいが、私はあれが大好きだ。どれくらい好きかというと最後の晩餐にしたいくらいには気に入っている。5年前、初めて食べた時はこんなに面白いものがあったのかと目玉が飛び出るほど驚いた。清浄歓喜団と検索するとなぜか上位に「まずい」との予測が出るが、私の感覚がおかしいのだろうか。いや、そうではないと信じたい。
あれをまずいと思った人は、恐らくその捉え方を大きく見誤っている。確かに清浄歓喜団などの古い唐菓子は決して万人ウケするものではない。なぜならあれらは元来供え菓子として大陸から渡来したものであるため、そのステータスを日持ちに極振り一点集中させているからだ。確かに、無駄に硬くて下手すれば歯が欠ける、食ってみても変なスパイスの味がして大して腹も満たされないような千年前の菓子である。飽食の時代、正直一個単価700円の清浄歓喜団を買うよりもつぶあんマーガリンを挟んだ88円のコッペパンを買った方が遥かに安くて腹もちするし、シンプルに美味い。
だが私はあえて「清浄歓喜団おいしいんだよ」と言いたい。これは見栄でも逆張りでもない。なぜならあの金玉のような形をした菓子には千年分の歴史のロマンが詰まっているからだ。
さて、私はここまで清浄歓喜団への思い入れについて長々と御託を垂れ流してきたが、今からバチクソホイップ3倍盛りのクレープを食べに行こうと思う。今日はチョコバナナに加えてイチゴのトッピングをして欲しい気分だ。
清浄歓喜団?
いや別に……今はそういう気分じゃないですね。