怖いもののはなし

北見
·

私はそれなりに鈍くて頑丈な方だ。グロゴアホラーも他者からの非難や叱責も、痛い事も大体平気だ。嫌だな〜とは思うが怖くはない。注射も検査も手術もアンチも、いずれ終わるものと考えてしまえばさしたる恐怖は感じない。無神論者だし祟りやお化けの類は内心まるきり信じていない。魚は若干苦手だが、大抵の生き物とは和解できる気がする。

上記の通り、常日頃から向こう見ずな馬鹿を自称している私だが、しかし悲しい事にそれでもやはり人間だった。世の中にはしっかりと怖いと感じるものがある。

まずは地蔵だ。こればっかりは和解できない。苦手どころか怖くて大嫌いだ。ひたすら恐ろしい。道端や畦道などで合掌した彼らを目にする事があるが、こちらとしては怖くて怖くて仕方がないので薄目早足の状態でカサカサと移動しながら通りすぎる事に徹している。出来れば視界に入れたくない。赤い前掛けをつけていたり群れを成してそこに存在していようものなら尻尾を巻いて全速力で逃げたくなる。

本州最北端に位置する恐山というところには是非足を運びたいと考えているが、きっとそうなったら私は泡を吹いて後ろに倒れたまま死ぬ事になるだろう。以前、絵を描くためにそこら辺にいた地蔵を撮影した事がある。その時も薄目で一枚だけ撮って「ごめんなさい許してください」と謝りながら逃げてしまった。……書いていたら思い出し鳥肌が止まらなくなってきたのでもうここらへんでやめておこう。

次にパイプオルガンの音が怖い。あのなんとも言えないこの世の終わりにも似た音を聴くだけで胸が悪くなり、頭の芯が冷え込んでくるくらい苦手だ。そういえば私の地元では毎年新年になるとパイプオルガンの演奏会が開かれるが、幼い頃からローカル局でそのCMが流れる度、私は耳を塞いでこたつの中に隠れていた。あれをいい音だと感じて、壁のように聳え立つあれを劇場まで見に行きたいという人がいるのだから世界は広いな大きいなと思う。ちなみに私はこのパイプオルガン恐怖症のせいで、D社の「美女と野獣2」を未だに視聴できずにいる。無念だ。

ではなぜこの二つをここまで恐ろしいと感じるのか。

前者はただのありがたい石だし、後者に至ってはただの楽器だ。別に何も恐れる事はないではないか。はいはいそれね、もう100万回くらい聞いたわ。お父さんとお母さんにもおんなじ事言われたし、なんなら死んだばあちゃんからも言われた。

マジレスすると恐怖の原因は恐らく、彼らもつどこか異様で優しい雰囲気だろう。だって考えてもみてほしい。どっちも救う系宗教の大御所感があるじゃん?私ってそれが地雷じゃん?だってその衆生救済思考ってキモいじゃん。なんか胡散臭いマルチ感がすごいしクソゲー並みの理不尽でゴリ押ししてくるし結局のところ信じなきゃ救われないし恩着せがましくてウザいじゃん。

なんだよあの地蔵の「わて頑張って救ってやりまっせ」みたいな微妙な表情は。なんでお前ら揃いも揃っていいもん食ってる感満載のぽっちゃりフェイスで血糖値スパイク起こしたみたいな顔なんだよ。大丈夫?眠いの?業務ストレスで過食とか起こしてない?いいよ別にそんな事お前が無理してしなくても。おっかないから救わなくていいよ休め休めマスコット化とかすんな、規模拡大やめてクレメンスというかもうこれ以上日本各地に増えないでくれ。

それになんなんだあのパイプオルガンとかいう教会御用達のクソデカ荘厳謎ピアノは。死ぬほど遅いBPMで聖歌とか奏でるなよここは地獄か?あと私聖歌もちょっとつらいから。下手したらお腹痛くなっちゃうから。「天使にラブソングを」をウッキウキで視聴して泣きながらおそろしゲロを吐き散らした女を舐めるなよ。ゲロ掴んで投げつけんぞ。

とまぁグダグダと罰当たりな事を書き殴ってしまったが、やっぱり憎いものは憎いし怖いものは怖い。あとパクチーは絶滅した方がいい。

好きな人がいたらごめんね。お詫びに一発殴ってもいいよ。

@kitamijoshiro
雑記