24歳になったら、周囲の人間達から異性交際や結婚を勧められる事が格段に増えた。両親親戚知人達など、確実に四方八方から安定した人生を急かされているように思える。
アンタそろそろ恋人とか作んないの?結婚できなくてもいいの?孫の顔はいつ見れるの?ていうかそもそもどういう人がタイプなの?……もしかして、女の人が好きなの?
挙げ出したらキリがないのでここまでにしておくが、上のような言葉はもはや耳ダコだ。田舎に住む中高年特有の「結婚=人間としての通過儀礼」という、もはや信仰にも似たその思想にはいい加減うんざりする。
だが私は懇切丁寧慇懃無礼をモットーに生きる優しい人間だ。ちょうど今仕事が終わって暇なので、上記の問い合わせにはしっかりと真摯に対応させていただこう。
まず恋人は要らない。はっきり言って現時点の人生においてその存在は邪魔でしかないし、ナチュラルに他者との恋愛は気持ち悪いな〜と思う。恋バナを聞くのは大好きだが、自分がそうなりたいとは思わない。
生きても死んでも人間は突き詰めればどうせみんな孤独なので、無期限同棲契約たる結婚もしたいとは思わない。というか多分飽きるし、そもそも他人とは一緒に暮らしたくないのでたとえ結婚できたとしても早々に破綻すると思う。
子供を自分のズタボロ遺伝子を後世に残したくはない(というか子供を私と同じ目に遭わせたくない)ので出産や育児も却下だ。自分の腹を器にして一世一代の丁半博打を打つ度胸など私にはないし、自ら進んでやりたいとも思わない。
だが好きなタイプは考えたことがなかった。強いて言うなら理由なく突然刃物で刺しても笑って許してくれるような人間だと思う。ちなみに性的嗜好については現時点で異性愛者だ。
こんな感じで享楽的に、刹那的に生きているものだから、結婚の条件だとか理想の相手だとか、そういうものもほとんど考えた事がない。なぜなら私にとって、それらはすべて対岸の火事すなわち他人事であるからだ。昨日風呂に入れたバブの原材料くらいどうでもいいと思っている。だから自らその火事現場に赴き熾烈な結婚闘争に身を委ねるよりも、私は川辺で魚を釣ったり石とか投げて暮らしていたい。
結婚して子供を授かるには、私の世界は狭すぎる。そんな事よりもひとりでホットケーキとか焼いていたい。新しい人間関係の構築は、クソ雑魚パワーの私などでは荷が重すぎる。
人生をかけて他人と戯れるよりも、ぬいぐるみに埋まって眠っていた方がはるかに幸せだ。
そんな事で老後はどうするんだ、結婚して子供を産むのは大人としての義務だ、などという時代錯誤のご意見もある事だろう。そういう方々には、僭越ながら虚勢を張ってこう言ってやりたい。
うるせえ死ぬときゃ死ぬんだよ、と。