休職してから

haruki
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休職し始めてから、最初はとにかくグッタリしていた。休職あるあるで休み始めると一気にガクッと落ちるらしいが、まさにその状態でめまいと頭痛と発熱に苦しみ、毎朝散歩に出かけたあとは日の当たる場所で横になってばかりいた。ただ、身体は休養を欲してゴロゴロしているのに相変わらず寝れないので、ずっとTwitterやnote、Youtubeで「休職 過ごし方」とか「休職 1ヶ月目」とかを検索し、自分と同じく寝てばかりの人を見ては安心し、色々と活動できている人を見ては落ち込みながら、日がな一日を過ごしていた。

休職し始めてすぐ、ピルの副作用を相談した婦人科で血液検査の結果が出て、鉄欠乏性貧血が判明した。原因不明だっためまいにそれらしい理由があったことは私を安心させてくれたが、治療は鉄剤を飲むことしかなく、効き目も1ヶ月後ぐらいに現れるということでとにかく寝ているしかなかった。もちろんこの状態で復職できるはずもなく、休職期間は3ヶ月に延長となった。

そんな寝てばかりの引きこもり状態が1ヶ月半は続いたと思う。途中少し体調が回復したように思えて外出してみたところ、ATMに並ぶだけでパニック発作を起こして倒れそうになり、本屋で目当ての本だけを手に入れてやっとこさ帰ってきては2日ほど寝込み、30分程度の外出もできない自分に絶望したりもした。心療内科への通院は2週間に1回程度だったが、一人暮らしの家の近くの病院だったため、実家からは通院だけでも往復2時間かかるかなりのお出かけであり、通院すると2〜3日寝込むという本末転倒な有様で、この頃は通院以外の外出はほとんどできなかった。その上、通院の度に前回の通院から全く状況が変わらないことや良くなっていないことを思い知らされ、通院前日に主治医に相談したいことを考えながら母相手に弱音をこぼして泣いてしまう体たらくだった。

この頃、東京から友人がわざわざ実家近くまで来てくれて、まだ外食できる体調ではなかったので散歩しながら近況報告をしたりした。私のTwitterでの近況報告を見て心配して応援物資を送ってくれた友人や、月に一回生存確認のLINEをくれたりした同僚もいた。家族は心配してくれつつも適度に放置してくれていて、体調がなかなか改善しなくて落ち込む私に「まぁ老後の先取りだと思ってゆっくりしなよ」と不器用ながら弟が励ましてくれたりもした。元上司はめまいで苦しむ私にNHKか何かでやってためまい対策の情報を送ってくれた。友人しかり家族しかり、会社の人もそうだが、皆そっと寄り添いつつ気遣ってくれていて、私は本当に周りの人に恵まれていると感じる休職期間だった。

そうこうしてゴロゴロ過ごしているうちにしっかり休養できたからか、だんだん家事や近所で買い物ができるようになり、7月中旬には少しだけ電車に乗ってスタバでお茶ができるぐらいには回復してきた。前払い式だと飲み始めてから体調悪くなっても最悪残して帰ればいいので気が楽だということもパニック発作を起こすようになって初めて気付いたことだった。休職し始めてからメンタル疾患に関する本を読み漁ったので、自分がパニック障害の「予期不安」が強くて外出できなくなっていることを理解しており、この辺りからリハビリのために少しずつ外出するようになった。30分カフェで座っていられた、何軒かウィンドウショッピングで歩き回れた、電車に乗っていられる時間が長くなった、美容院で数ヶ月ぶりに髪を切れた、そうやって「できた」を積み上げて、薬を飲みながらではあるが少しずつ少しずつ色んなことにチャレンジしていった。もちろん順調に行くことばかりでなく、焦って無理しすぎて体調を思いっきり崩してしまうことも多々あったし、7月末は夏風邪を引いてしまい1週間以上寝込んでいた。母からは何度も「焦り過ぎ」と嗜められる毎日だった。

そんな調子で8月に入ってからもリハビリ外出は続けており、お出かけの距離や時間をじわじわ伸ばしていたが、午前中外出する→午後は家でゆっくりする、というぐらいの体力だったので、休職は9月末まで延長となった。さすがに休職期間が3ヶ月を超えたので上司からオンライン面談を提案されて、3ヶ月ぶりに上司と面談することになった。当日までは緊張していたが、始まってみれば仕事していた頃の明るくて元気な自分がそこにはいた。元々仕事内容が辛くて休んだ訳では無かったので、上司と仕事の話も楽しくでき、終わった後は少し拍子抜けしたほどだった。そして少しずつ自信を取り戻していき、8月末になって友人とランチに行けるようになった。実は今でもそうだが、人と食事することに対して「途中で体調が悪くなって迷惑をかけたらどうしよう」とかなり不安があったが、一人でのランチは何回か挑戦できていたし、まぁ最悪顔を見れたらそれでいいやと会いに行き、結果ランチしてお茶して楽しい時間を過ごせた。2時間ぐらいの短い時間だったが、休職前や休み始めの状況を思えば、本当に回復したなぁと帰りの電車の中でしみじみ感慨深かった。

9月に入って、このままの調子なら10月に復職できそうだなと思い始めた。この頃から少しずつ一人暮らしの家にも戻り始め、一人暮らしに戻るとリハビリの外出を続けつつもあとはもう仕事以外やることねぇな…という状態になっていたからである。主治医からも普段の過ごし方から10月復職でいけそうだねと言ってもらい、傷病手当金の書類を提出しに会社に顔を出せるぐらいにはなっていたこともあって、9月末に産業医面談の予定も組んでもらった。そして平日休みもあと1ヶ月ということで休日混んでそうな水族館や美術館に出かけていたが、そうこうしているうちに無理し過ぎたのか熱中症で駅で倒れて親に迎えに来てもらう事態になってしまった。この熱中症で倒れたことはここ数ヶ月かけてコツコツ克服したはずの体調への不安とそれによる体調不良(これが意味不明なことに体調を崩すことが不安すぎてめまいや頭痛を引き起こすのである)を一気に引き戻してくれ、おかげさまで復職のための産業医面談前に不安でまたもや親の前で大泣きすることとなった。とはいえ、不安がっていてもどうしようもないどころか後回しにすればするだけ辛いよなーと冷静な自分もおり、アカンかったらその時はその時!と、とりあえず予定通りに産業医面談に向かうことにしたのだった。