0227/あかまし

kkkyyy9610
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 パンッ! と後ろにある電子レンジの中から破裂音がした。

 それは俺の心臓を、きゅってさせる音だった。

 むかし、聞いた音に似てた。暗い部屋で何度も音がしてた。なにか降ってきて、それが床に当たって、俺にも当たって、俺に怒る人がいた。分からない。あれは怒ってたのか、それとも話しかけてくれてただけなのか。もう、全然覚えてない​──思い出せないのに、音だけは、鮮明に耳に残ってる。

 身体が、動かなかった。早くレンジ開けないと、茜ちゃんが怒っちゃう。どうしよう。頭の中が、ぐわんぐわんと揺れた。目の前がぐるぐる回る。

 あれ。俺、なにしてたんだっけ、俺。

「おいっ、手貸せ」

「っ、」

 頭の中が、真っ白になった瞬間腕を掴まれた。引っ張られて、シンクの方に連れていかれて、右手に冷水がかけられる。

「火傷……は、してなさそうだな。怪我は? 指切ったりしてねぇか?」

「、」

 何を言われてるのか、全然分からなかった。俺の手をじっと見てほっと息を吐いた茜ちゃんは​──────ご主人様は、今度は俺の顔をじっと見てから、大きな目を見開いて、そのあと悔しそうに目を細めた。

 そして、気づいたら俺は茜ちゃんに抱きしめられてた。

「……気づかなくて、悪かった」

 そう低い声でぽつりと言って、俺の頭を優しくぽんぽんと撫でてくる。俺は、それになんて答えていいのか、やっぱり全然分からなかった。でも抱きしめてくれるのが嬉しくて、全身を震わせながら、なんとか手を動かして、茜ちゃんの背中に縋り付くようにして抱きついた。(終)

@kkkyyy9610
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