だいたいの子持ち家庭はそうだと思うが、うちも夫婦間で家事育児を分担している。朝の保育園送りは僕、朝ごはんの用意は僕、保育園の支度は妻、夕飯の支度は日替わりで交代、保育園のお迎えと洗い物は夕飯を作らない方、お風呂と寝かしつけは僕。
掃除や洗濯はほとんど妻がやっている。あと子供の遊び相手は妻が多い。妻の方が仕事の時間の融通が利くため、子供が熱を出した時に平日病院に連れて行くのも妻がほとんどだ。
要は一応だいたいの家事育児について分担が決まっている。
一応と書いたのは、役割分担にこだわらなくても手が空いてる方がさっとやってしまったほうがいいものもある。洗い物とか。
そもそも役割分担というのがちょっとサラリーマンチックだ。企業ではそれぞれ全体の目標とかミッションがあり、その実現のための機能として部門があって、最後に個人の役割がある。そういうふうに綺麗に役割を分けて、それぞれに人手を張れれば良いのだが、家事育児はそうはいかない。やらなきゃいけないことが増えてもそう簡単に人手は増やせない。いわば個人事業主だ。
なのである程度の役割分担はあった方が良いのだが、こだわり過ぎて「それうちの部門の仕事じゃないス」とか言っても何も前に進まない。そんな御託を並べても、誰かがやらねばならない。
そういえば妻は自分の担当の家事育児だったとしてもそれをやると僕の前に来て「〇〇やった!えらい!!」と自分で自分を褒めて去っていく。最初は割とびっくりした。僕が基本的に減点法で物事を評価しがちなので、「やって当たり前のことをやって何を言ってるんだ」と思った。
が、今では僕も「洗い物した!えらい!」と妻の仕事スペースにまで行ってわざわざ報告している。思えばこれは我が家内最大の発明だったかもしれない。家庭内で減点法を適用すると割と細々と減点が付く。元の役割分担なるものがそもそも厳密に運用出来ない代物だからだ。
原理的に「満点」が無理な状況下でお互いに減点し合うと、とても消耗する。だから役割分担上「やって当たり前」のことでも、ちゃんと出来ると偉いのだ。サラリーマンじゃないから。不確実な個人事業主たちだから。
という狙いがあったのかどうかは知らないが、とにかくこの俺やったった偉いだろ宣言は、不毛な消耗をせず2人で生きていく知恵として我が家で運用されている。ちなみに妻が当初腰に手を当ててエッヘンとしながら報告していたので僕もそれを踏襲しているのだが、妻の方は最近そのポーズをしてくれなくて少し寂しい。代わりに子供がなぜか褒められるとエッヘンと言うようになった。いいのかなこれ。