【旅行記】日光――二荒山神社を中心に

見代
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公開:2023/4/23

(※初出:tumblr。2023.11.18転記)


茨城県は古河歴史博物館で開催中の企画展「かえってきた堀川國廣」に合わせて、東京から見て方角が同じ栃木県日光の二荒山神社にお参りして祢々切丸を拝見しました。ついでに輪王寺宝物館や日光東照宮宝物館にも。寺社自体もじっくり観たかったのですが、そちらは時間切れにつきまたいつか。

今年の大河ドラマが「どうする家康」なのでもっと混んでいるかと思いましたが、適度な賑わいという感じで助かりました。さすがに奥日光にある中宮祠は全然人がいなかったです。

というわけで、以下ざっくり。ちょいちょい『刀剣乱舞』の話もするよ。

■ 二荒山神社 神橋

世界遺産に登録されている日光二社一寺エリアの入口にある神橋からスタート。通り抜け不可で橋を往復するだけで有料なので観光と考えると割高感がありますが、お参りと考えればありありのあり。

この神橋は二荒山神社の管轄(?)なのですが、本命の本社にたどり着くまでの間に家光が眠る輪王寺や家康を祀った東照宮がドーンと並んでなかなかに困惑する配置でした。このルートが整備されたのはいつなのか、何を考えてこの配置にしたのか、当時の信仰や霊場を政治利用する思惑のようなものを考えてソワソワしつつ、大木が立ち並ぶ道はとっても気持ちが良かったです。

■ 二荒山神社 本社

神橋から15分くらい歩き、二社一寺エリアの最奥にある二荒山神社 本社に到着。思ったより近かったです。ご祭神の一柱が大巳貴命とのことで、「因幡の白兎」だろううさぎが社殿前に置かれていました。オタク史上最推しのスイクラ古橋さんのモチーフのひとつに大物主命を見出し、その上でウサギと友達な事実に感慨深いものを感じているのでここでもうテンションMAX。

どう見ても獅子な狛犬が置かれていたり、面白い神社でした。

で、お参りして社殿の中をふと見渡したところ、ある。鹿の皮の上に置かれた、祢々切丸をはじめ御神刀3振りが、ある……! さすがに社殿の中を撮影するのはどうかと思いつつ、感激のあまりパシャリ。でも恐れ多いのでさすがに掲載はしません。

とはいえこの3振り、事前に神社の方にお尋ねしたところレプリカなんだそうです。でも現役の姿を拝見できて光栄でした……偶然とは言え弥生祭の期間を狙って良かった……。巫女さんたちによる神楽舞? の練習や弥生祭の神事にもお目にかかれてめちゃくちゃ得した気分でした。

■ 二荒山神社 神苑

本社奥の有料区域にも足を踏み入れましたが、入り口で「縁結びの笹」「化け灯篭」の文字に吹き出す審神者私。祢々切丸、笹貫や青江と相性良いのでは……。

化け灯篭は夜警中の武士が灯篭の灯りを幽霊と勘違いして斬りつけたという伝説があり、刀傷が残っているそうで。ワクワクしながら見てみたけどちょっと見つけられませんでした。残念。

縁結びの笹もお社が置かれていたので正面からの写真は割愛。どうも笹自体が神道において重要な植物の気配がしましたが、こんなに笹を押し出してる神社は初めて拝見した気がします。やはり祢々切丸と笹貫は仲良くていいよ。でも笹貫は逸話が逸話なのであまり笹に縛られるのも不本意だろうか。

神苑はあと太郎丸という大太刀が展示されていて、太郎……と熱田神宮に思いを馳せたりしちゃいました。鑑賞向きのライティングではなかったような、物自体はよく見えなかった気がします。

とまぁこの時点でお値段以上だったのですが、神苑は御神体である山をミニチュアサイズ(とは言え全然迫力のある大きさ)で表現されてたり、「本殿(≒神様)から一番近いスポット!」とか恋愛運向上スポット? 四葉のクローバーが生い茂るエリアに体験型設備、人生訓が書かれた看板などなど、老若男女が楽しめるちょっとしたテーマパークみたいになってて何というか愉快な神社だな? 普段そんなに写真は撮らないタイプなのですが、パシャパシャ撮りまくってしまった。祢々切丸、たぶん真顔でユーモアをかっ飛ばす実は気さくなタイプなのでは……?

■ 二荒山神社 中宮祠

本社からバスで1時間ほど行ったところの中宮祠にもお参り、というか祢々切丸が展示されている宝物館があるのでこちらが本命でした。本社はもののついでというつもりだったのですが情報量が多く、行ってよかった……。

中宮祠は中禅寺湖温泉から歩いて20分くらいだったでしょうか。目の前にバス停もあるのですが中禅寺湖温泉で10分ほど停車するので、歩ける人は歩いちゃった方が早いです。中禅寺湖に面しており、男体山の登山口にもなっていて(今は閉山中)、自然信仰、山岳信仰の気配が強く、人もまばらでとても静かでかなり好きな雰囲気の神社でした。そしてクソオタク私は「祢々切丸、やっぱり山伏国広と相性良いな……」としみじみ考えていた。

宝物館は2階建で神社の古い宝物館としてはありがちな感じ……と油断していたら、2階の刀剣展示スペースはライティングもめちゃくちゃ良くてキャプションも充実、鑑賞し甲斐があってびっくりしました。御神刀3振りは1階の展示だったのですが、そちらも改修してくれないかな……クラウドファンディングとかどうだろう……。

で、肝心の祢々切丸ですが。「でけえwwwwwwwwwwwwwwww」が第一印象でした。いやでかい、本当でかい。特に拵がやたらでかく、私は成人女性としては手が小さい方と思われるのですが精一杯手を広げて何とか天地両側に指がかかりそうなくらい。そのくせ刀身の印象は物静かで穏やかでなごむものがあり、刀剣男士の雰囲気とよく重なりました。写真では見たことありましたけど、あの迫力は実際に目の当たりにしてこそですね。行って良かったです。

館内は撮影禁止だったので、手水舎にあった等身大?ポスターの写真をペタリ。実はここでもあまりの大きさに笑ったんですけど、この写真だとよくわかりませんね残念……。このポスターちょっと欲しい。あまりにでかいので。

残りの御神刀である瀬登太刀は福岡市博物館「侍展」以来の拝見。手入れに出されていた柏太刀も戻ったばかりで、3振りまとめて拝見できてラッキーでした。瀬登太刀もやっぱり好きだな~なんか懐きたくなる雰囲気があるんですよね。

宝物館、あと面白いものとしては天正期(!)のお神輿が3基だったか、何気なく置かれていて三度見しました。き、貴重ー!! 間違いなく今のお神輿と通じながら今とはまったく異なる趣で、すっごかったです。本当に歴史ある神社なんだなぁ……。

■ 日光東照宮 宝物館

時間があまったので戻って残り一社一寺の宝物館も駆け足ながら拝見。東照宮宝物館にはなにやら凄そうな刀が何振りが展示されていてさすが東照宮……という感じでしたが、個人的に印象に残ったのは被災刀の現代再刃3振りと茎のみの鋳型複製……だったかな。はじめは茎だけ切断して残したのかと思い青ざめました(笑)。

ちょうど先月水戸の徳川ミュージアムに伺って燭台切など被災刀を拝見していたので、しみじみしてしまいました。被災刀を後世に残す意志は通じていてこれが徳川なのかとも思い、けれど東照宮は再刃するものの徳ミュは被災刀自体はそのままに復元刀を製作するというスタンスの違いが興味深かったです。

■ 輪王寺 宝物殿 / 逍遥園

輪王寺宝物殿は当たり前ながら仏教美術系が中心。展示室も小さくサクッと眺めましたが、個人的に面白かったのは江戸時代最初期?に奉納された青銅器の……あれはなんだ、壺……? 花瓶……? おしゃれで見応えがあったというのもあるんですが、ちょうど2ヶ月前に中国青銅器の名品を拝見した上に「中世日本の茶道具にも影響を与えてる」ということを知ったばかりで、本当に通じるものがあって勉強になりました。やはり日本文化を知るには中国文化の勉強は必須だなぁ。

それから同じチケットで庭園も見られるとのことで、ちょうど大雨なのおあってこちらもサクッと一巡。何となく香川県丸亀の中津万象園にまた行きたいな~なんて思っちゃったんですが、庭園の作りが中津万象園と同じく琵琶湖モデルだったそうです。私は良いカンしてるな……。

丸亀と言えばニッカリ青江ですが、昨年2022年は展示がなかったので今年はあるかなー、またお会いして中津万象園にも行きたいなー。中津万象園、知ってる限りで一番好きな庭園なんですよ。でも昨年は動き回りすぎたのと今年は既に色々ありすぎて精神が疲労気味なので今年はもう刀剣鑑賞目的の遠征はすべて取りやめたいような、でも鑑賞すると元気になるので悩ましいです。

■まとめ

一言で言うなら楽しかったです。外国人も多く観光客慣れしてる感じですが、コンクリート・ジャングルに囲まれてる都民としてはあの緑豊かな静寂さがとにかく良かった。効率悪く動いちゃったので全部は回りきれませんでしたが、そのうち腰を据えて満喫するのも楽しそうだなぁ。

@kmgtr
心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ